もうすぐ…
その日の晩、キドはいなかった。
全部の部屋を探した。でもいない。
「キド!」
僕がキドを探していることに気づいたのか、マリーが心配そうな顔をして近づいてきた。
「ね、ねぇカノ…キド、いないの?」
「…うん」
「キサラギなら何か知ってるかなぁ?」
ちょっと聞いてくるね、と言ってマリーは部屋を出ていった
一人しかいない部屋。
いつもいる部屋なのに、なぜか広く感じてしまう。
頭に浮かぶのは彼女だけ。
涙がこぼれそうになったとき、ドアを大きく開ける音がした。
「カノさん!団長さんは…」
「まだ、見つからないんだ…」
「そうじゃなくて!私、団長さんの居場所知ってます!」
「へ?」
僕だけじゃない。
マリーも驚いている。
「キサラギ…知ってたの?」
「うん、黙っててごめんね、マリーちゃん」
「で!?キドはどこに!?」
いつもより大きな声で言った。
「…それが、カノさんには言うなと…」
「いいから!言って!」
もう我慢できない。
いつものような余裕はない。
たとえキドが僕を拒んでいるとしても、僕はキドに会いにいく。