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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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プロローグ




天星に祈る。
空には見渡すかぎりの光の砂。
宝石箱の中身を天空にこぼしてしまったような幻想世界。
街独特の爽やかな風が、その情景をより引き立てる。
清涼の空の下、私はただ祈る。
―――ただ、守りたかった。
この美しくて泣きたくなる静寂がいつまでも続けばいい、と。
ほかに何もいらないから、どうかいつまでもこの瞬間であってくれ、と。
望みとしては、それだけだった。
しかし、望みはあくまで望み。
叶うかどうかはその者次第。
天空には黒い空をそこだけ切り取った白く薄い三日月。
そのカタチは、人が笑ったときの口にみえた。
耳まで裂けた嘲りの口。
まるで、人の不幸を笑い話に変えてしまう道化の顔。
"わははは、お前には無理だ!できっこない!"
三日月は笑う。
豪快に。
陰湿に。
全てを嘲るように。
全てを闇に飲み込むように。
道化は笑いながらお得意の人形劇を始める。
―――寝台の上に横たわる子の人形。
―――その傍らで乞うように涙を流し続ける女の人形。
―――無力という言葉以外の形容を赦さない己の人形。
なんて、稚拙で脆弱な人形劇。
忘れたくても、決して忘れられない悪い夢。
忘れたくても、絶対忘れてはいけない切なる願い。
"あの日"が、網膜の裏にフラッシュバックする。
空には見渡すかぎりの光の砂。
宝石箱の中身を天空にこぼしてしまったような幻想世界。
そんな空を睨みながら、私は誓う。
この身はただ、平穏を守るための道具であろう、と。