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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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翔太郎は怒ればいいのか呆れればいいのか気持ちの整理がつかないままに、ずかずかと建物のなかに入っていく真倉を後を追う。
そんなアタフタしている翔太郎の姿を敵に怯えていると解釈した真倉。
「なに、心配することはないぞ、探偵。この真倉様に任せておけば万事上手くいくのだ! フゥーハハハハハ!」
「うわぁ、イラつく。何こいつ、マジむかつくわ〜。オイやめろその笑い方! なんかすごく神経に障るぞ!」
「実は丁度手錠を新調したばかりでな。みろ!」
翔太郎の話を途中で切り、真倉は背広の内ポケットから手錠を出す。
しかしその手錠は警察が使っているようなものよりも太くて頑丈そうであり、手錠の連結部分が鎖ではなくワイヤーになっていて前面にはボタンがついているというおかしな形の手錠だった。
「? なんだその手錠?」
少し興味を持ってしまう翔太郎。
真倉はそれに得意げに胸を張る。
「特殊手錠KANNO ユニット NO.78! 風都の武装研究所がつくった特殊手錠なのだ! 従来の手錠の十倍の強度を誇るこの手錠! これさえあればドーパントだってイチコロだ!」
「・・・・・・手錠でどうやってドーパント倒すんだよ・・・・・・」
翔太郎のげんなりなツッコミにまだ自慢げな表情を崩さない真倉。
「それだけではない。シュッ!」
真倉は手錠のわっかをフリスビーを投げるみたい放る。
しゃらん。
かちゃ。
すると、連結部分のワイヤーが伸び、投げた手錠の片側が翔太郎の右手首にはまる。
「うお!?」
さすがにびっくりする翔太郎。
「ふっふっふ、驚いたか探偵。この手錠こんな具合に伸びて遠くの犯人を捕まえることができるのだ! さらにィ!」
そう言いながら、真倉は自分の左手首に手錠をはめる。
そして前面についているボタンを押す。
うぃーーーん。
すると伸びた連結部分はモーター音を立てて縮んでいく。
「うおお!?」
当然、手錠の片側が右手首にはまっている翔太郎は真倉のほうへと引っ張られる。
「どうだ! これがKANNO ユニット NO.78だ! このボタンを押すと手錠のワイヤーが伸び縮みし相手を捕縛することができるのだ!」
「・・・・・・確かに。・・・・・・これはちょっとすげーな・・・・・・」
多彩なギミックを披露した特殊手錠KANNO ユニット NO.78に翔太郎も思わず感心する。
「なんでも開発したのは風都の陸上自衛隊の隊長さんだそうだ」
「自衛隊!? なんで警察の拘束具が自衛隊でつくられているんだ!?」
「さぁ、詳しい経緯は俺にも」
「い、意味が分からねー・・・・・・」
日本の司法機関の曖昧さに一抹の不安を覚える翔太郎だった。
「まぁ重要なのはコレがあれば犯人逮捕に大きく貢献できる、ということだ! どうだ凄いだろう俺!」
いつの間にか自分の手柄にしてしまった真倉。
「・・・・・・う〜ん。でもよ、この手錠、ボタン一つで伸び縮みしちまうんだろ? ・・・・・・なんかそれ、手錠の意味なくないか?」
そんな真倉に素朴な疑問を投げる翔太郎。
「・・・・・・え゛!?」
さっきまで得意げだった真倉の顔に動揺の色が混ざる。
慌てて背広の内ポケットから手錠の説明書らしきものを取り出し、その内容と実物の手錠とを交互にみる。そして、
「こ、この手錠意味ねー・・・・・・」
真倉はある一つの結論に達した。
「見た目がカッコイイのといろんな仕掛けがあったからつい実費で買ってしまった。・・・・・・くそ、ボタン一つで伸び縮みする手錠なんて、手錠として致命的な欠陥じゃないか・・・・・・っ! だ、騙したな・・・・・・っ!!」
翔太郎に言われるまで全く気づかなかったくせに使えないと分かるとまるで自分が騙されたみたいな態度をとる真倉。
「いやいや。落ち着けよ、マッキー。騙したっていうか、お前が騙されただけだろ」
わなわなしている真倉に翔太郎は冷静なツッコミを入れる。
「つか、この手錠が(無駄に)スゴイのは分かったからさ、そろそろコレ外してくれよ。これじゃあ歩きづらいし、お前との距離が近すぎるとか、とてもキモい」
翔太郎の冷静な(冷めた?)説得に、わなわなと打ち震えていた真倉は正気を取り戻す。
「そ、それもそうだな。俺もさっきからお前の生臭い息がさっきから耳に当たって気持ち悪いと思っていたところだ」
「生臭い息!? 自分からこっちに引っ張っておいてひどくないかそれ!?」
「言い間違えた。生暖かい息だ」
「ひどい言い間違えだ!?」
もうすでにここが敵地かもしれないということを半分忘れ気味な二人。
工場のなかに入っても元気いっぱいのテンションで言い合いをしているのだった。
「まぁいいや。とにかくここは敵アジトなんだ。手をつないだままじゃ歩きにくい。外してくれ」
「うむ、承知した」
真倉は内側のポケットから手錠の鍵を探そうとして、
「あ、そうだ。こいつには鍵がついていないんだった」
なんてことないような調子で言った。
「? 鍵がない、って・・・・・・まさか、これって指紋認証とか暗証番号式の開錠ができるのか!?」
翔太郎は少年のように、すげーと目を輝かせる。
しかし、真倉は顔の前で、違う違うと手を振り、
「この手錠、まだ錠前と鍵がつけられていないんだ」
とんでもないことを言い出した。なんてこともないような調子で。
「・・・・・・」
真倉の発言に理解が追いつかない翔太郎。
「・・・・・・え、いや、・・・・・・え?」
ついつい聞き返してしまう。
「いや、実はこの特殊手錠KANNO ユニット NO.78はまだ試作的につくられた製品でな。これもまだ実戦投入までは想定されていない、あくまで手錠のギミックを確かめるためのテスト用の手錠なんだ。だからこの手錠の開錠には特殊な工具が必要になってくるらしいんだ」
「な、ならば、その特殊な工具とやらを早くぷりーず・・・・・・」
「? こんなところにそんな大掛かりな工具があるわけないだろう? 何をバカなことを言っているのだ、探偵?」
「バカ言っているのはお前だーーー!!!」
翔太郎は吠えた。
「どーすんだよ!? ここ敵地のど真ん中だぞ!? ただでさえ危険なのにこんな動きまで制限されてまともに立ち回れると思っているのかっ!?」
そして一気にまくし立てる。
「・・・・・・」
真倉はそれをしばしの間ぼーっと聞き入って、
「・・・・・・あ」
ようやく状況を理解した。
「あ、じゃねーーー!!!」
翔太郎は再び吠えた。
「や、やばい、間違えた。バ、バグだ。計算ミスだ。ど、どどどうしよう、探偵?」
「バグっているのはお前の脳ミソだ!」
ホントどうやって警察官になったんだお前は!と翔太郎は大声を出す。
しかし、ひとしきり大声を出して少し落ち着いたのか、帽子を被りなおして考えを整理する。
「と、とにかく、このままはまずい。ここは一端退いてこの手錠を外すぞ」
「わ、わかった」
真倉は神妙な顔で頷く。
「しかし探偵。もしこんなところを敵に見つかってしまったら、」

「う、うるざーーーい!!」

そんな真倉の懸念は果たして次の瞬間に的中してしまった。
「び、人のアジドで大声出じやがっでっ! お、お前ら本当に潜入捜査ずる気があるのがーーー!!」
トロ臭いドモリ気味の口調。