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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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「大体よぉ、貴方達は毒がまわってもう虫の息じゃねーですか。そんなやつに諭されたって何もこたえませんね。いつの時代だって結果が全て! 力が正義! 私を納得させたければ私を倒してみせなさい!」

「そうかい。ならそうさせてもらうぜ!」

(Heat!!!)
(Metal!!!)
突然聞こえる電子音。ダブルのベルトからだった。
「っ!? いつの間に!?」
ダブルは桐嶋が話に熱中している最中にすでにベルトのメモリチェンジを終えていた。
使うメモリは、闘志の記憶を宿したメモリ・メタルと熱き記憶を宿したメモリ・ヒート。
瞬く間にダブルの体は変化する。
燃えるような炎をイメージさせるレッドカラーと堅固な鍛鉄をイメージさせるメタリックカラー。
ヒートメタル。
仮面ライダーWの中で最強の火力と装甲を誇る形態。
それは、その場に立つだけで周囲のものを燃やして壊しつくすかのような暴力的なプレッシャーがあった。
「う、お・・・・・・!」
そしてそれは、狂化して恐怖心が麻痺している桐嶋にも十分伝わるレベルだった。
「プ、プロジェクト"W"のなかでも最も強力な装甲と火力を誇るヒートメタル・・・・・・っ! ・・・・・・純粋な戦闘力の底上げですか!」
ヒートメタルになったダブルの姿に桐嶋は酷く狼狽する。しかしその動揺が表情に出ていることに気づいたのか、桐嶋は、はっ、と我にかえる。
「ふ、ふん。しかし今さら攻撃力と防御力を高めたところでもう遅い。私の毒はすでに貴方の体中に蔓延している。それをどうにかしないことには貴方たちに勝機など―――」
ボボボボボ・・・・・・、ゴォォォォ!!
ジェット機のエンジン噴射のような超高温の高熱体。
ダブルの体を覆う炎の勢いが増す。そしてそれに呼応するようにふらふらだったダブルの動きが本来のものへと戻っていく。
「な、に・・・・・・?」
今度こそ動揺を隠し切れない桐嶋。
「君の毒が生物的な消化酵素だというのなら」
「それを燃やし尽くしちまえばいいだけだぜ!」
そんな彼に自信に満ちたダブルの声が聞こえた。
桐嶋の出血毒はヴァイパードーパントの体内で分泌される消化酵素だ。一般に酵素はタンパク質で構成されている。

そしてタンパク質は例外なく、熱によって変質しその活性を失う性質を持つ。

ゴォォォォ!!
ガイアメモリの力で精製されたヴァイパードーパントの消化酵素なら100、200度くらいの熱を加えてもあるいは変化に耐えられるだろう。しかし、
ゴォォォォ!!
ヒートメタルの熱は瞬時に鉄を溶かすほどの超高熱。
100度や200度の話ではない。文字通り、熱量の桁が違う。
「つまり、多少の毒ならば瞬間的な解毒が可能ってわけさ!」
体内の毒がすっかり滅菌されて完全に元の状態に戻ったダブル。
その様子に桐嶋はひどくうろたえる。
「ふ、ふん。だからなんだと言うのですか!? 要は毒の量が足らなかっただけのこと! 体の解毒が追いつかないくらいに毒を注入すれば良いだけです!」
そう言うと桐嶋は半ばがむしゃらに突撃する。
「シャアアアッ!」
しゅぱ、しゅぱっ!
桐嶋の素早いナイフ攻撃がダブルへ放たれる。しかし、
カン、カンッ!
それがダブルの皮膚に傷をつけることはなかった。
「なっ!?」
「選択を誤ったね?」
ダブルの落ち着いた声。
「どうやら君は一度計算外の物事が発生するとミスをし出すタイプのようだ。―――この体は、すでにメタルメモリによって強化されている」
「・・・・・・あ」
間抜けな顔で呆然とする桐嶋。
「そろそろチェックメイトだぜ、―――参謀どの?」
(Metal!!!)
ダブルは自分の背中に折りたたんで持っていた棒術武器・メタルシャフトを取り出し、その先端部にメタルメモリを挿し込む。
「陳腐な研究成果しかあげられなかった君にはもう興味がない。―――もうゆっくり休みたまえ」
(Maximam Drive!!!)
マキシマムドライブ。
それはダブルの運動エネルギーが極限まで高まった状態。
ゴォォォォォ!!!
ヒートメモリの力が付加されたメタルシャフトの両端からは恐ろしく暴力的な高熱が噴射される。
「「はぁ!」」
ゴォォォォォ!!!
ダブルはその爆発にも似た噴射の勢いに体を預けそのまま桐嶋目がけて突進する。
「「メタルブランディング!!!」」
ヒートメタルの必殺技・メタルブランディング。高熱の火の玉と化した鋼の衝撃はまさに防御不能、絶対無敵の一撃―――!
ゴォォォォォ、ドッゴーーーーンッッッ!!!
ターゲットの桐嶋に噴射で勢いづいたダブルの鋼棒フルスウィングが直撃する。
「が、ぎゃあああああああ!!」
まともに喰らった桐嶋は高熱で焼かれながら盛大に吹っ飛び、
「シャ、アアアッ!!」
しゅるり。しゅる。しゃらん。
逆にその勢いを利用し、持てる力を振り絞って障害物を避け奥の第三工場への連絡路へと逃げた。
「あ、逃げやがった!」
翔太郎は驚きの叫びを上げる。
「ふむ。思っていたより随分しぶといね」
フィリップは落ち着いた様子で感心する。
「感心している場合じゃねぇ! 追うぞ!」
「了解した」
ダブルは桐嶋を追って第三工場への連絡路へと走って行く。