Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)
真倉はその刃野の命令を目を丸くして問い質す。
「翔太郎に任せてあるとはいえ、これは一応警察の捜査なんだ。それに刑事のお前が一緒にいれば翔太郎の捜査の助けになるだろうよ」
真倉の考え方ではないが、実際に警察の持つ公権力というのは絶大だ。
それに地域住民の聞き込み捜査一つ取っても、素性が不確定な私立探偵が訪問するよりも、警察手帳を持った刑事が質問するほうがみんな素直に対応してくれるハズだ。
「しかし・・・・・・、えぇー、しかし・・・・・・」
しかしイマイチに乗り気にならない真倉。何故警察官である俺が一般市民の手伝いなど、とブツブツと呟いている。
そのやり取りを観ていた柏木は不和を感じ取ったのか、真倉の手を握り一生懸命な声で懇願する。
「刑事さん、あの、宜しくお願いしますっ」
「もちろんです我が姫!」
真倉のなかのわだかまりが一瞬で解消された。
「・・・・・・お前・・・・・・なんで上司の言うことは聞かずに、女の子の頼みは即OKなんだよ・・・・・・」
「じゃあ私はとりあえず翔太郎くんたちについて行こっと!」
亜樹子はどさくさに紛れて捜査に便乗しようとする。
「おい亜樹子、捜査は遊びじゃねーと何度も言って、」
「翔太郎くん、お金に無頓着な貴方に単価交渉ができるのかしら?」
「ついてきて下さいお願いします」
亜樹子の便乗捜査はあっさり受理された。
「よ、弱いなー、探偵・・・・・・」
苦笑いな真倉とがっくり肩を落とす翔太郎をよそに、亜樹子は柏木のほうへ向き直る。
「あ、柏木さんは今日のところはおうちに帰ってていいですよ。また何かあったら、私たちのほうから連絡しますからっ!」
そう促された柏木は少し緊張した顔で、
「は、はい。みなさん、本当に宜しくお願いしますっ!」
探偵事務所の面々に深く頭を下げた。
かくして、鳴海探偵事務所の誘拐事件の捜査が始まったのだった。
作品名:Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW) 作家名:ケイス