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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 9

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「そう怒らないでください。しばらく姿を見せなかった事には謝ります」
 ですが、とアレクスは続けた。
「今日は皆さんにとってよい話を持ってきましたよ」
「よい話?」
「ええ、そうですよ、ガルシア。あなた方船を探しておいででしょう?」
 ガルシアは頷いた。
「私はその船を手に入れたのですよ」
「ふん、自慢でもしに来たってのか?」
 シンは侮蔑を込めて訊ねた。
「違いますよ、私の船にあなた方も乗せてあげようと思ったのです」
「お前の船に、だと?」
 ガルシアは眉をひそめた。
「まあ、正確には私達の船、ですがね…」
 アレクスが目配せするとガルシア達の両脇から二人人が現れた。
 片方は赤い髪の少女、もう一人は短髪で筋骨逞しい男であった。二人とも顔の色が常人とは異なっていた。少女はとても白く、男は青い顔をしていた。
 この二人のことは知らないが、この顔の色の特徴はよく知っていた。
「この方達はプロクスの者です、名は…」
 続きは二人それぞれがした。
「あたしはカースト」
 少女は名乗った。
「そして俺はアガティオだ」
 それに男が続いた。
 アレクスは微笑を浮かべた。
「彼らも灯台の解放を狙っている、言わば仲間です」
「仲間、か。それにしては随分物々しい様子だが?」
「まあ、落ち着いてくださいガルシア。彼らはあなた方の仲間です、手荒な事はしませんよ」
 そんなことより、とアレクス。
「私達と共に船でジュピター灯台を目指しませんか?そうすればすぐにでも灯台は灯せるのですが」
 ガルシアは当然のように断った。
「断る。今までずっと姿を現さなかったお前と、今更一緒に行くつもりはない」
 ジャスミンとシバも続く。
「そうよ、今更出てきて一緒に来いなんて、虫が良すぎるわ」
「私達は自分自身で船を手に入れて、ジュピター灯台に行くわ。とやかく言わないでちょうだい」
 シンも同じだった。
「オレもその通りだ。つうことでアレクス、オレ達はお前とは一緒に行かない」
 スクレータは頷いていた。
 アレクスは困ったように両手を広げた。
「やれやれ、私はこれほどまでに嫌われていたのですか」
 しかし、とアレクスはニヤリとした。
「こちらのお二人はどうでしょうかね?」
 アレクスがカースト達を一瞥すると、アガティオが言った。
「ガルシアと言ったか、我々と共に来る気がないのならお前の持つジュピタースターを渡してもらおう」
 ガルシアはそれに強気で応じた。
「どうして俺が渡さなければならない」
「俺達は灯台を速やかに灯さねばならん。貴様の都合に合わせている暇はないのだ」
「一緒には行けぬが、灯台は俺達が必ず灯す。だから大人しく待っていろ」
「どうあっても渡す気はないようだな。ならば力ずくで…」
 アガティオは拳を握った。
「待て、アガティオ。殺す前にこいつらに訊きたい事があるわ」
 カーストは止めた。そして恐ろしい目つきでガルシア達を見た。
「あなた達、メナーディという女を知らないかい?あたしの姉さんなんだけど」
 メナーディという名も、どんな人物かもガルシア達は知っていた。しかし、今どうなっているのか、言えばこの女を刺激する事になるかも知れない。故に彼らは口を噤んだ。
「その顔は知ってるようだねえ。言いな、姉さんは一体どこに!?」
 それでも尚口を噤んでいるとカーストは痺れを切らして炎を放った。
「きゃっ!」
「あたしゃ気が短いのよ。早く言わなきゃあんた達を丸焦げにするよ!」
 カーストはガルシア達に手を向けている。いつでも火を出すのは簡単な事だった。仕方なくガルシアは苦い表情で告げた。
「メナーディは、死んだ…」
「え!?」
 カーストは一瞬動揺し、目を丸くした。
「あんた、下手な嘘付くと許さないよ」
「本当だ。メナーディはサテュロスと共に、ヴィーナス灯台での死闘に敗れ、死んでいった」
「カーストとか言ったか、ガルシアの言ってることは本当だ。オレもその場で見ていた」
 シンは言った。するとカーストはガルシア達に向けていた手を下ろし、俯いた。
「姉さんを…」
 カーストはばっと顔を上げた。
「姉さんを殺したのは誰だ!?」
 その目には涙があった。姉を失った悲しみというよりも、怒りや悔しさによるものだった。
「…ロビンというエナジストだ」
 ガルシアは告げた。
「ロビン…!」
 カーストは怒りに任せてエナジーの波動を放った。その衝撃はガルシア達に襲いかかった。そしてカーストの周りを炎が渦巻いた。それは彼女の怒りを表すかのように激しく燃え上がった。
「許さん、許さんぞロビン…、必ず見つけ出してやる」
「おい待てカースト、灯台は…」
 アガティオは引き止めた。カーストはアガティオの手を振り払った。
「そんなものは後よ!まずはロビンを見つけ出し、このあたしが、カーストが倒す!」
 カーストはガルシアを突き飛ばして町を出て行った。
「待てカースト!」
 アガティオもその後を追った。
「待ちなさい、まだジュピタースターを得てはいないではないですか!」
 アレクスの制止も聞かずカースト達は町を出ていってしまった。
 アレクスは苛立ちを隠さずギリッと歯噛みをした。
「全く、揃いも揃ってプロクスの者どもは役立たずばかりだ…」
 アレクスはガルシア達に向き直った。
「命拾いしましたね、ガルシア。今回の所はジュピタースターは諦めることにしましょう」
 それだけ言うとアレクスも後を追おうとした。
「待て、アレクス。どうしてジュピタースターを諦める?」
 ガルシアは訊ねた。アレクスは振り返った、微笑を携えて。
「私一人でもあなた達からジュピタースターを奪えるだろう、そう言いたいのですね?」
 ガルシアは何も言わない。
「ふふ、確かにあなた方からジュピタースターを奪うことなど造作もない。ですが、私一人では灯台には上れないし、あの馬鹿どもに渡した所で灯台が灯るのはずっと後のことでしょう。だったらあなた方に任せた方が早いと思ったのです」
 サテュロス達といた時もそうだったがアレクスはカースト達も馬鹿扱いしている。
「私達の味方じゃなければカースト達の味方をしているようにも見えない。アレクス、あなた一体どっちの味方なの?」
 ジャスミンは訊ねた。
「私は灯台の解放を優先しているだけでどちらの味方でもありませんよ。まあ、強いて言えば賢い方には味方しますがね」
 アレクスは不適な笑みをこぼし、町を去ろうとした。
「次はジュピター灯台で会いたいものですね。ガルシア」
 立ち止まり告げるとアレクスは町を去っていった。
 今回はカーストのおかげでどうにかエレメンタルスターを取られずに済んだ。しかし、同時にサテュロス達に続く脅威があることを知った。彼女らと争うことになれば、勝ち目はほぼないように思われた。
 ガルシア達は急ぎ船を手に入れるべくピカードの向かった、キボンボを目指すのだった。
    ※※※
 フェイスペイントを施した男が祈りを捧げている。腕を大きく開いたり、その場で小刻みに跳ねたりする踊りらしきものをしながら彼の前にあるテーブルに置いてある剣に向かってひたすら祈りを捧げていた。
「おい、本当にこんなんで分かるのか?」
 シンが隣のガルシアに耳打ちをした。