The world make kaput <1章:2>
金色の大怪鳥2
ドゴン!!
「クワァァァァッ!!!」
さすがに1撃とはいかないが、爆弾を喰らったイヤンクックは背筋をピンと伸ばし、フラフラとしていた。
いわゆる音効果というやつだ。
ラウル:
「よし、今の内だ!」
ラウルは音効果があるのを確認し、安堵するとエリスに指示を出す。
ラウル:
「エリス、お前は足を狙え!効果が切れたら離れろよ!」
それだけ言うとイヤンクックの翼に鬼斬破を降り下ろしさらに斬り上げをして左から横に薙払うように一歩後ろに下がった。
そこでラウルはエリスが攻撃に参加してない事に気付いた。
エリスは武器を構えたままイヤンクックをボーっと見つめていた。
ラウル:
「エリス…?エリス!!」
エリス:
「…はっ…はぃ?」
二回呼ばれてやっと気付いて返事をしたが、エリスは焦点の合わない目でラウルを見ていた。
ラウル:
「なにボーっとしてんだ!もう効果が切れるぞ!」
エリス:
「ぉ、オッス!」
そう言うとイヤンクックの足に飛びかかり斬りをして、斬り上げ、袈裟斬り、そして捻りを加えての回転斬りをした後、前転をしてイヤンクックの後方へと位置取り、また攻撃を仕掛けていった。
ラウル:
「いや、俺今、効果が切れるって…」
アイツは人の話を…と続けようと思った時、ラウルは異変に気付いた。
イヤンクックの音効果は既に切れており、口からは怒りの炎がチロチロと覗いていたのだが、その場から動こうとしないのだ。
エリスを見ると未だに脚を斬り続けていたが、様子が少し変だった。
怯えているのかどうかは分からないが、エリスのあんな顔を見るのは初めてだった。
すると、エリスが斬り付けていた足が千切れたのかイヤンクックはバランスを崩して倒れ込んだ。
それを見て、考えても仕方がないと思ったラウルはイヤンクックの頭に斬りかかった。
縦に二回斬りつけた後、今度は突きをしてから一回止まり、気合いを入れた。
ラウルの武器から赤いオーラが湧き上がる。
そして流れる様に右、左と斬り付け、高く降りかぶり、頭に渾身の一撃を見舞った。
それがトドメになったのかイヤンクックはピクリとも動かなくなった。
ラウル:
「ふぅ…」
ラウルは一息ついてエリスの方を見てみた。エリスはまだイヤンクックを斬り付けていた。
ラウル:
「おいエリス、もう終わったぞ!…エリス!エリス!!」
エリス:
「ほぇ?ぇ…?」
くるっ…と、ラウルの方を見るが、まだイヤンクックを斬り付けている。
ラウル:
「…もう死んでるから…あんまりやると剥ぎ取る所なくなるぞ…」
エリス:
「ぉおぅ!いつの間に!?さすがラウルさん♪」
ラウル:
「いや、ほとんどお前だけどな…ほら、剥ぎ取って帰るぞ。それに、このイヤンクックの事を村長に報告しないとな」
そう言うと、ラウルは武器を仕舞い、横たわる金色の大怪鳥を見下ろした。
作品名:The world make kaput <1章:2> 作家名:ますたーど