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東方宝涙仙総集編其の<弐拾壱(21)~其の弐拾五(25)>

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「何を撃つか明確にしてほしいですね。じゃあ返せません」
「なら撃つ!」
「言ってる事メチャクチャじゃないですか」
二人のやりとりの最中フランドールがボソッと呟いた。
「魔理沙今『"返せないなら"撃たない』って……」
フランドールは魔理沙の間抜けな台詞をしっかり聞いていたようだ。フランドールの小さな声での解説は魔理沙の耳には届かなかったようだ。
「フラン!着いて来い!」
魔理沙がその場をいきなり走り去ろうとしたせいでフランドールは瞬時には対応できなかった。
「ちょっと待って魔理沙!」
出遅れたフランドールが魔理沙を追う。
「逃がしませんよ。スペルカード!影操『操りシャドー』!」
「フラン先に逃げろ!ここはアタシ一人で充分だ!」
「でも…!」
「いいから!アタシがあんな奴相手に負けるわけないだろ?」
魔理沙の微笑みは何故か随分と信頼性がある。フランドールはこくりとうなずき階段を降りて行った。
「逃がしません!」
フランドールの目の前に黒い柵のようなものが張られた。
「ふふっ、それは実態のある影でできた柵ですよ。不思議な事に触れないのにそこから先へはいけません」
「オマエ馬鹿だなぁ。フランは物に触れなくたってその物を壊せるんだぜ!」
「!?」
魔理沙が説明している間にフランドールは影の策の眼(ツボ)を手の上に復元させ握りつぶした。影の策は溶けるように消えていく。
「そんな!」
まさかの展開にシズマは驚きと戸惑いを隠せなかった。フランドールが影の策を突破して階段を降りて左へ曲がり、姿が見えなくなった。
「おいおいアタシには何もしてくれないのか?」
シズマは悔しそうに魔理沙のほうを向いた。
「あなたさえ来なければ……。影よ!黒の魔法使いを斬る兵士となれ!」
掛け声に合わせて天井にぶらさがったシャンデリアの影が兵士の形となり実体化された。
「所詮影なんて低レベルなスペルカードだけで充分だぜ。星符『メテオニックシャワー』!」
ミニ八卦炉かさほど大きくはない鮮やかな星が少量ではあるが室内では充分なほど放たれた。
「オマエのダサい名前のスペルカードなんかとは比べものにならない実力とカッコよさを見せてやる!」
「影の兵よ、降り注ぐ星を受け止める護兵となれ」
指示通り槍を持った影の兵は盾を持つ護兵と変化し、メテオニックシャワーを防いだ。多少防ぎきれなかった星もあるが、シズマには掠ることもなく壁を破壊した。
「影を人形のように扱えるんだな」
「慣れない戦い方の相手ですか?」
余裕の表情を見せつけ魔理沙を軽く挑発する。しかし魔理沙は挑発には乗らなかった。
「人形使いくらいなら知り合いにいるからな、全然慣れっこだぜ」
魔理沙はスカートの下に履いているドロワーズ(半ズボンとパンツが合体したようなもの)のポケットから次のスペルカードを取り出した。
「あなたがスペルカードをまた使うなら…」
魔理沙に合わせシズマもスペルカードを取り出す。
「どんなスペルが来るのか楽しみですね」
笑顔で言った。
「呑気な奴だな。そんなオマエには必殺技を見せてやる!恋符『マスタースパーク』ッ!!」
「必殺技とは嬉しい限りですね。偽影『マジカルコピー影形(えいぎょう)』!」
ミニ八卦炉にパワーが溜まりマスタースパークが発射される寸前、シズマの前に黒い人影が発生した。
「さあマスターなんとかとやら、撃って下さい」
「言われなくても撃ってやるつもりだ!」
パワーを開放し壁なんてどうにでもなれと言わんばかりにマスタースパークを発射した。
「こんな光線当たったらとんでもないですね」
マスタースパークはシズマの前にあった黒い人型の影に直撃したが、人型の影はビクともしない。ただのガードとなっただけだろうと思うが、シズマのスペルカードの能力はここからが本番だった。
「撃ち返しなさい。…影の魔理沙さん」
シズマがそう言うと人型の影が魔理沙の形に変化していき、影で作られた魔理沙が魔理沙と同じポーズをとりだす。
「まさかオマエ!」
魔理沙は気付いた、その構えが何を現しているのか。
影の魔理沙は魔理沙そっくりの笑みを浮かべ、マスタースパークよりも強力なマスタースパーク(モドキ)を放った。
「かかりましたね。私の能力はまさに"影を操る"という事。自分の影を…いや自分の影以外もを物体に化かしコピーすることができるんです!」
間一髪でコピーのマスタースパークを避けきったものの、館の壁は自分の撃つマスタースパークの時よりもはるかに崩落していた。
「ふふっ、びっくりしました?コピーといえど威力・スピード…すべてにおいて本物の上をゆくんですよ」
「これは……」
後に"ヤバいぜ"と続けるつもりだったのだろうが、魔理沙は言葉が詰まった。館の中にそこらじゅうに影がある。影がある限り魔理沙は絶対的に不利な状況と言えるだろう。
「もう撃ってこないんですか?ならこちらから…」
シズマは再びカードを取り出した。
「影域『シャドー・モセス』!」
「次はどんなのがでるのかドキドキヒヤヒヤだぜ」
しかし弾の類が飛んで来ることはなく、魔理沙はどう動いていいかわからずその場で立ち尽くす。魔理沙が何も起こらないと油断を切らした瞬間、魔理沙の足元の影が急に大きく広がった。
「なんだ!?」
足元の影に対応する間もなく下の影から鉄パイプのような形状の槍が突き出てきた。
「テッ!!」
槍の刃の部分が肘を掠めた。突き出た槍は水たまりのような影の中へ吸い込まれるように戻ってゆく。
「影を槍状にしてみましたよ。もちろん本物の槍以上の強度と殺傷力ですが」
「こんなん影からでればいいだけだ!」
魔理沙が足元の影から出ようと前にジャンプした。
「無駄ですよ。光の下であなたは影と自分を地面に着いた状態で切り離すことができますか?無理でしょう。ふふふっ、逃げられないんですよ貴方は」
楽しそうに微笑むシズマと絶体絶命の危機にさらされた魔理沙。
「少しでも弾を撃とうとすれば今すぐにでも串刺しにします」
「厄介な奴とあたっちまったぜ…」


■Touhou Houruisen 25

ー紅魔館エントランス付近階段・魔理沙vsシズマー

「おとなしく動くのをやめたほうが身の為ですよ。まぁ、動くのやめても串刺し…いや槍刺しにしますけどね」
足元の黒い影の領域に捕らわれた魔理沙は反撃はおろか下手に動くこともできなくなっている。
「もう最後の止めさしちゃいますよ?」
「わかったよ…私の負けだ…」
魔理沙は持っていたミニ八卦炉を天井に向けて投げ捨てた。彼女なりの降参の仕方なのだろう。
「では」
シズマが魔理沙の足元から影の槍を突きだそうとした瞬間、魔理沙は帽子を深く抑え身を屈めた。
「前も右も左も後ろもダメなら上があるんだぜ!」
勢いをつけて素早く跳躍した。それも先ほど同様に前に軽く飛ぶのではなく完全に上に。そして空中を舞うミニ八卦炉を捕まえる。
「縦に飛んだところで避ける事なんてできませんよ」