まどかは悪くない
待っているのは絶望だけさ。
そうさ、人間は死ぬ時は一人なんだ。
死ぬのはただ一人。
「家族に見守られて、幸せな最後を遂げた」
なんて言葉は方便さ。
だってそうじゃない、死後の世界はずっと一人なのかもしれないんだから。
私、寂しいんだよ。ずっと、一人なんじゃないかって、思って・・・。
生きている間も、死んだ後もずっと一人なんじゃないかって思えて・・・
「ねぇ、キューベー、幸ってなんなのかな?」
「僕には幸せという言葉の意味がわからない。けど、君の言う幸せは、願いが叶った時点て成就(じょうじゅ)されたはずだよ?」
「まぁ、その願いも、今となってはもうどうでもいいんだけどね・・・。ねぇ、キューベー?私、もう疲れちゃったのかな?」
「今日の君は変だよ。美紀さやか」
「やっぱり、変かな?」
「だってそうじゃないか。君は核さえ壊れなければ、傷ついても、痛みも感じない。疲れも感じない。ある種、不死身の存在になったんだから」
「核さえあれば・・・か・・・。きゅうべー、あんたの言ってることは確かに正しい」
「けどね・・・、核だけ残ったってどうしようもないじゃない!!こんな姿でどうやって生きろっていうのさ!!」
「美紀さやか、君は生きているのが不思議なくらいなんだ。魔女化したものは例外なく、心を失うのだから。
君は運が良かった。まさか、グリーシードが意思を持つなんて・・・。こんなことは初めてのことだ」
「ねぇ、キューベー、また嘘ついてるでしょ?だって、私、知ってるんだよ。私、だんだん日を重ねるごとに自分のこと、わからなくなってきてるんだよ?」
「家族の顔が思い出せないし、学校の友達の顔が思い出せない、いつも話してた友人の顔すら、思い出せないんだよ?!」
「美紀さやか・・・。君の言う通りだ・・・。僕には、君を助けることができない」
「やっぱり・・・、そうなんだ・・・。ねぇキューベー?私の最後の願い聞いてくれる?」
「なんだい?」
「私をグリーシードとして使って欲しい・・・」
「何を言い出すんだ君は!せっかく生き残った命なのに」
「死ぬことがわかってるのなら、最後くらい誰かのために死にたいじゃない・・・。あたし、そう思うんだ」
「美紀さやか・・・。君は・・・」
「こんなところに居たんだキューベー、もう探したんだよ~」
なんだろう。どこかで聞いたことのある暖かい声だ。この人は確か・・・
「あ!グリーフシード。もう、キューベー!あるなら早く言ってよ」
「ちょっと待って!!まどか!!それは!!」
「じゃさっそく!!・・・ん?何か言った?キューベー」
「鹿目まどか・・・。君は・・・」