鴉天狗と!!
最近よく耳にするようになった言葉
-幻想入り-
ゲームの世界、幻想郷へと入り込む事だと一般的な認識とされている…筈。
二次元。
そこに憧れを抱く人は決して少なくはない。
俺だってそのような想像…いや、妄想をしている事なんてザラにある。
小説の中や漫画の中、そこでは当たり前のように異世界へと飛ばされている。だが、実際にそのような事はないだろう。
自分が知らないだけかもしれないが、そのような話は聞かない。
いや、もしかしたらその人は初めから居なかった事にされる。
つまり、居なくなっても不自然ではない世界に変化してしまっていると考える事も出来るのではないだろうか。
そもそも、俺はどうしてこのような考えを巡らせているのだろう。
答えは至極単純、自分自身が非現実的な出来事に巻き込まれてしまったからだ。
いや、本当に。
大学の帰り道、世にも奇妙な二又の尻尾をした黒猫を見付けた。
生き物に関して、興味を引き立てる事は日常的にあった。
その興味に促されるまま黒猫を追い掛け、導かれるかのように人気の無い路地裏へと入っていった。
思えば、これから始まっていたのかもしれない。
路地裏を走って追い掛けることに夢中になり、周囲への注意が疎かになっていた。
突如感じる浮遊間ー
間違いなく、俺は落ちていた。
路地裏で。
突然過ぎて声を上げる暇も無く。
…そこで一度俺の意識は暗転した。