花の名前 序章
花のことにはどうも疎くて、その名前すら分からないけれどーいつかきっと、この花を君に送ろう。
そう遠くない未来。
この胸に秘めた思いを君に伝える勇気を持てたとき。
腕いっぱいにこの花を抱えて君の所へ行くよ。君の視界をその白で塗りつぶして、そして伝えよう。君が好きだと。
この世界の誰よりも、君を幸せにしてあげたいーそのためなら俺は、きっとなんだってできると思うから。
とりあえずは一輪。ささやかな思いを込めて。名前も知らない花だけど、君によく似たこの花を送ろう。
ほんの少しでも君に幸福が訪れるようにー
俺がこの花を差し出したら、マリア…君は微笑んでくれるだろうかー?