二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

キス七題

INDEX|1ページ/1ページ|

 
【理侘】
カチカチとテンポ良く音を鳴らして侘助はキーボードを叩く。世界を混乱に陥れた指で。ふいと音が止んだと思えば、ビールの入ったグラスを呷っていた。傍らにグラスを置いた手をそのまま引き寄せる。侘助は何も言わない。その静かさに感謝して理一は小さく口付けた。

【手の上なら尊敬のキス。】



【物理部】
額に汗して、という言葉があるがそれは隣の数学バカにも当てはまるようだ。懸命に問題を解く姿は端から見れば滑稽かもしれないが、佐久間にすれば飽かず眺めていたい姿である。ようやくこちら側に戻ってきたケンジの額にキスをして、帰ろうか、と佐久間は告げた。

【額の上なら友情のキス。】



【ウサリス】
鼻を合わせる挨拶の時にケンジが見せるくすぐったそうな顔がキング・カズマはとても好きだった。その笑顔が嬉しくてその日はついと鼻を横へ滑らせ、軽く噛むように頬に触れた。直後にケンジがぽんと音を立てそうなほど赤くなった理由をキングはまだ知らない。

【 頬の上なら厚情のキス。】



【カズサク】
好きだと告げた後の初めてのキスはとにかく夢中だった。軽く触れるだけで良かったと思ったのは一瞬でもっともっとと求めてしまう。それは佐久間も同じだったようでけれど止まぬ口付けを噛みついて終わらせたのも彼だった。曰く、今日が最後じゃないんだからと。

【唇の上なら愛情のキス。】



【カズケン】
いつもは強い光を放つ瞳が今は安らかに閉じられている。転た寝する恋人を見下ろして健二はやわらかく笑んだ。まさかこの真っ直ぐな瞳が自分だけを捕らえてくれる日が来るなんて思わなかった。健二は愛おしそうに瞼を指でなぞり、掠めるだけのキスをした。

【閉じた目の上なら憧憬のキス。】



【リサク】
捕らえた身体は成長期特有のはかなさとしなやかさをもっていた。いつかその日が来るのは分かっているから。この手から逃げるその日まで、どうかどうか此処にいてほしい。振り上げられた手を取って掌に口付ければ、腕の中の華奢な身体は途端にくたりと力を抜いた。

【掌の上なら懇願のキス。】



【ラブケン】
少しでもケンジの姿が見えなくなるとラブマシーンは怒り悲しみ不安を示す。それは己に対する愛情だと分かっていたが彼ばかりが愛情を欲しているのが悔しくてケンジはラブマシーンの腕に噛みついた。そのまま腕を伝って首筋にしがみつき音が鳴るほど吸いついた。

【腕と首なら欲望のキス。】



――さてそのほかは、みな狂気の沙汰。
作品名:キス七題 作家名:楸モリカ