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君の笑顔があまりにも愛らしいから。【黄桃】

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その女の子は、とても美人で明るくて、気配りのできる子で、有名な女優を間近で何回も見たことのある俺ですら見とれるほどに
彼女は美しかった。


♂♀


「桃っち〜!!」
「あ、きーちゃん!どうしたの?」

「赤司っちが、今度の練習試合の事で作戦を練りたいから、明日の昼休みに部室に来いって言ってたッスよ〜」
「あ〜、そういえばまだ話し合ってなかったんだったっけ!了解です、ありがとうきーちゃん!」

この笑顔がとっても可愛い女の子は、桃井さつき。
俺が、初めて恋をした子だ。
この悩殺スマイルに、不覚にも一瞬で落とされちゃったんスよね〜…。

俺が桃っちに見惚れていると、心配してくれたのか声をかけてくる。

「きーちゃん?大丈夫?もし具合が悪いなら保健室行った方が…」
「…えっ?あ〜‥大丈夫、大丈夫ッスよ!俺超元気なんで!!」
「そう…?熱とかは無いみたいだけど、気を付けてね?最近風邪流行ってるみたいだから」
「そッスね〜、黒子っちも体調不良とかで今日は休みらしいし」

黒子っちの名を出した途端、彼女の目つきが変わった。

「そうなんだよきーちゃん〜!!もうさっきからそれが心配で心配で…倒れたりしてないかなぁ、テツくん…」

そう言って桃っちはオロオロし始めた。
桃っちってばホンットにいつも脳内黒子っちなんスね…。
俺も頭ん中いっつも桃っちの事ばっかだから、人の事いえねーケド。

と、桃っちが何か閃いたらしい。

「あっそうだ!!ねぇねぇ、きーちゃん!」

きーちゃん、と言って可愛らしく上目遣いで呼んでくる桃っちの姿は実に愛らしい。
くらっとくる。

「ん?なんスか?」

「あのさ!部活終ったら二人でテツくんのお見舞い行かない!?」
「…え?」

桃っちが黒子っちの家にお見舞いに行こうって突然言い出した。
いや、それは良いんだ…仲間を気にかけて様子を見に行ってあげるのはとーぜん。俺だって黒子っちの具合は気になる。
だからそれは良いんだけど……

「‥二人でッスか?」
「うん、二人で!!」

何故…?
部活をサボって行くならともかく、部活が終わった後なら皆でお見舞いに行けばいい話だ。
それを、わざわざ二人…?

「なんで、二人なんスか?皆も誘って行こうよ…?」

とか言ってみる。
だけど内心俺は、桃っちは俺と二人きりになりたくて言ったんじゃないかと
少しだけ、期待していた。

そんな俺に返ってきた言葉は。


「ほら、皆で行くと騒がしくてテツくんも余計具合悪くなっちゃうでしょ?だから二人ぐらいで行くのが良いかなぁと思って!」


デスヨネ。
わかってたッスよ、オチはそんなもんだって!
少しくらい自惚れたかったんスよぉ…。

まぁ、でもそうか。あんまり大人数で病人の元に押しかけるのは賢明じゃないよな、うん。
やっぱり、桃っちは細かい事まで気遣いがすごい。もっと好きになった。

「わかったッス!黒子っちのためッスもんね!」
「へへ、ありがとう!じゃあ、また部活でね!またね、きーちゃん!!」

そう言って彼女は、"テツくん"の事を想いながら教室に戻って行った。

はぁ〜・・・まだまだ道のりは遠そうッスねぇ…。



♂♀




俺達は、さっき廊下で話してた通り黒子っちの家にやってきた。

ピーンポーン…。


「あれ〜?テツくん出て来ないね?」
「そうッスね〜…寝ちゃってるとかッスかね?」

「どどどうしよう…もしかしたらホントに倒れちゃってるとか…!!」

そんな桃っちの心配をよそに、もう一回インターホンを押すとあっさり黒子っちが出てきた。

「すみません、イヤホンしてて気づきませんでした」
「テツく〜〜ん!!心配したよおぉ!」

と言って桃っちが黒子っちに抱き着く。
やっべぇ、この光景は意外と心臓あたりにくるぞ…

俺は、心がチクッと傷むのを抑えて黒子っちに話しかけてみた。

「やっほー、黒子っち。調子はどうッスか?」
「黄瀬君、こんばんは。一日音楽を聴きながら読書をしていたら、大分よくなりました。」
「いやいや、そこは寝てようよ!?」

俺も休んじゃった日にはよくゲームとかして遊んじゃうけどさぁ!!

親に寝たフリしながらやるのがまたスリルで退屈しないんスよねぇ。


「ところで、お二人はどうして僕の家へ…?」

黒子っちが問いかけてきた。

「黒子っちが心配でお見舞いに来たんスよ!!シャララァ…」
「来なくて良かったです。」
「ひどっ!?」

「あ、あのね!テツくん風邪でちゃんとご飯とかも食べれてるか心配でね!きーちゃんも誘って来たの!
ほら、私一人じゃテツくんが倒れてても運べないし…ねっ、きーちゃん!!」

桃っち…きっとそれフォローのつもりなんだろうけど、黒子っちを運ぶ為だけに俺は誘われたのかと心配になってくるッスよ……。
桃っちに少し天然が入ってるのは可愛いところであり、時にかなり傷付く原因だ。
これはもう、俺の桃っちへの恋心を試しているとしか思えない。

俺は、試練に耐えて見せた。

「そッスね!俺でも黒子っちの役に立てることあるんスよ?」
「そうですか…。」

黒子っちは全て見透かしているかのように可哀想なものを見る目で返事を返してくる。
お願いだからその目はヤメテ!!



「とりあえず、病人ずっと立たせてるわけにもいかないし…お邪魔させてもらっても良いかな?」
「あ、はい。どうぞ。」

「「お邪魔しまーす!」」