国立幻想郷学院
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(可哀想にねぇ、今年でやっと高校を卒業するっていう歳なのに…)
(交通事故らしいな、ご両親は即死だったそうだ。)
(妹さんは植物状態なんだってね…)
俺の名前は如月マコト、普通の家庭に生まれ、普通に育てられ普通の生活を送ってきたはずだった。しかしその普通の暮らしは突然の事故により壊された。両親と妹の乗っていた車に大型トレーラが突っ込んできて父と母は即死、妹は命は助かったが意識が戻ることは絶望的な状態だ。どうやらトレーラの運転手の居眠り運転が原因らしい。
両親の葬式が終わってすぐに俺の唯一の親戚に引き取られ、俺が生まれ育った町を遠く離れた土地に連れてこられた。親戚の一家はよそよそしく、嫌々俺を引き取ったんだなということは容易に想像できた。
「ねぇマコト君、これから私たちがあなたの面倒を見ることになったんだけど、私たちにも年頃の娘がいるの、だからあなたは離れに住んでもらえるかしら？」
親戚の家に着くや否や言われた一言がコレ、この時点で俺はここに居場所はないと確信した。
あれから半年が経ったが、その状況は一向に変わらず、むしろさらに煙たがられ、避けられるようになっていた。高校は転入で入れたが、３年のこの時期ではやはり浮いてしまいほとんどの時間を一人で過ごしていた。
唯一の心の支えである妹の入院している病院も遠くて月に一度行くのがやっとだった。その暮らしを続けていく内に身も心もボロボロになっていた。
しかし、年が明けしばらく経った頃のことだった。
「マコト君、あなた大学に進学するのね、しかも全寮制で入学金も授業料も免除なんてすごいじゃない！！」
親戚のおばさんがそう言いながら突然部屋に入ってきた。その手には手紙が握られている。そ
の手紙を読むと、どうやら国立幻想郷学院という大学からの案内の手紙のようだ。しかし俺は高校を卒業したらバイトでもしてここを出て行こうと思っていたため大学になど受験はしていなかった。
「いいじゃない！国立の大学に受かるなんてご両親も鼻が高いことでしょうね！ぜひ行ってきなさいな！」
あぁ、厄介払いができて嬉しいんだなと妙に納得した。こんな生活を続けるよりかはここに行ったほうが楽しいかもしれない。そんなことをぼんやりと思いながら、首を縦に振りこの手紙にyesと返事を出した。