スターサインプリキュア☆
「星もろくに見えないのにこんな事して効果があるとは思えないんだけど…。」
紗織はみのり達の様子を見てぼそりと言う。
みのり達は正座になってひたすらぶつぶつ呟いている。
みのりは沙織の信用してなさそうな様子を見てにこっと笑って声をかける。
「沙織、要するに気持ちだよ!これがお星様に届くか届かないかは分かんないけど…メシエって本当は悪い子じゃないと思うんだ。だからメシエを助けるためにどうか私達に力を下さいってたくさんお願いすればお星様が叶えてくれるかもしれないし!」
「そう…かなぁ…。」
「ほら、紗織も座って座って!」
みのりに促されて沙織は渋々腰を下ろす。
「私もよく分からないけどみのりの自信満々な顔見てたら出来るかもって思っちゃうんだよね。」
結姫が沙織に向かって言う。
「そうねー…それにどうせ何も出来ないなら何かこうでもしないと。絵本とかにありそうで面白いけど?」
「理屈では証明できない事が多々起こっている今、こういう行動も無駄とは言えないかもしれないわよ。
あなたもプリキュアでいる限り今までの常識や固定観念を捨てた方が楽だと思うけど。」
春菜と星羅も結姫に続いて沙織にそう言った。
「は、はぁ…」
紗織はとりあえず目を閉じてみんなと同じように呟き始める。
『お願いです…メシエを助けるために、この流星町や世界中の人達を助けるために、私達のパートナーの故郷を守るために…どうか私達に力を貸して下さい…。お願いします…。』
「見ツケタ…」
『メシエ!!』
「オマエ達モツイニ命ガ惜シクナッタカ。」
「そ、そうじゃないよ!メシエが…元のメシエに戻りますようにってお祈りしてたんだよ!」
みのりは立ちあがってブラックメシエを見つめる。
「言ッテイル意味ガヨクワカラナイガ…以前ノ私ナドモウコノ世ニ存在シナイ。」
「あなたの中には存在しなくても私は覚えてるよ。」
春菜も立ち上がってブラックメシエを見つめる。
「お父さんの漫画の世界に閉じ込められた時、あなたは私に攻撃せずに逃がしてくれた。」
「フン…愚カナ。ソンナ奴消エテ当然ダ。プリキュアヲ自ラ逃ガスナド…。」
結姫と星羅も立ち上がる。
「メシエは…操られてるだけだよね!?私も覚えてるよ、お花見の時私が作ったミルクレープおいしそうに食べてくれたじゃない!」
「公園で倒れていたあなたと同い年くらいの女の子、メーちゃんは友達だって言ってたわ。
あなた本心では…本当はこんな事…」
「黙レ!!!黙レ黙レ黙レェェェェェ!ソンナ愚カナ者ガ私ノハズガナイ!!」
「どこが愚かなの!?」
みのりが大声を出す。
「私達を攻撃せずに助けてくれたり、何かを食べて美味しいって言ったり、友達と一緒に楽しく遊んだり…それにメシエ、お花見の時、私が桜綺麗だねって言ったらうんって言ってくれたよね…。綺麗な物を見て綺麗だって思えるそれって素敵な事なんだよ!?愚かなんかじゃないよ!!」
話を聞いた沙織も立ち上がって口を開く。
「私は分からない…あなたの事全然知らないから。でも、みんながあなたの事を助けようとするなら私も少しは力になりたい。これくらいしか言えないけど…本当のあなたの姿を私も知りたい。」
「…苦シマズニ消シテヤロウト思ッタガ、ヤメテクレト泣キ叫ブヨウニシテ消シテヤル…。」
メシエがブラックスタースピアーを振り上げる。
「お願い、メシエ、やめてっっっ!!!」
ピカ――――――ッ
『…!!』
空から一筋の光が5人を明るく照らす。
「これって…!」
みのり達は互いに頷いてスターウォッチを前に出す。
「メシエ…お願い、前のあなたに戻って!」
『プリキュア・スターサインイリュージョン!』
スターウォッチから光が溢れ出し5色の光が交差する。
5人は星座の力を受け取って地に降りた。
「こぐま座の溢れる勇気!キュアアルサ!」
「うさぎ座の優しき心!キュアレプス!」
「くじゃく座の強き想い!キュアパーボ!」
「いるか座の美しき旋律!キュアデルフィナス!」
「はくちょう座の結ばれし絆!キュアシグナス!」
『光り輝く5つの星座!スターサインプリキュア!』
「お嬢様!!お逃げ下さい!!」
どこからか声が聞こえて現れたのはフィラメントだった。
「プリキュアの処分は私にお任せを。お嬢様はお逃げ下さい。」
「フィラメント…オマエ…」
「さぁ、お前達の相手はこの私だ!!」
そう言ってフィラメントは両手を広げて5人の前に立ちはだかった。
闇の中でそれぞれの戦いが今始まろうとしていた―――。
作品名:スターサインプリキュア☆ 作家名:☆Milky☆