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来世できっと・・・

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暗い地下牢の中、エレンは手枷をされながらベッド上に寝転んでいた。
巨人が殲滅されてから1ヶ月。エレンが想像していたよりも遅くにエレンの処刑は決まった。
人間の脅威となりえる巨人は全て消え去り、あとは巨人化できるエレンただ一人だけだった。
エルヴィン団長やハンジさん、ミカサやアルミン、そしてあのリヴァイ兵長ですらエレンの処刑を覆す為に動いてくれていたが、結局は無駄に終わってしまった。
とはいえ、エレンは死を前にして、自分の心が今までで一番落ち着いているのを感じていた。
自分の為に駆け回ってくれた幼馴染や上司がいてくれたことが嬉しかった。
それだけで十分にエレンは満たされていた。
そしてなにより、人生が終わる前に、愛する人も出来た。
自分が今落ち着いていられるのもきっとその存在のおかげだろう。

(俺は、十分に幸せだった。)

キィ、と牢が開けられる音が聞こえて振り返ると、そこには最愛の人、リヴァイ兵長がいた。
「兵長、どうかなさったんですか?こんな時間にここに来るなんて。」
エレンの言葉にリヴァイは眉間に皺を寄せた。
「お前は、明日が何の日かわかってんのか?」
きょとんとしたままのエレンを見てリヴァイは呆れてため息とともにエレンの問いに答える。
「・・・お前に、会っておきたかったからだ。」
そう言うと、リヴァイはエレンに近づき、エレンが寝転がっているベッドに腰掛けてエレンの前髪を指で梳いた。
「エレン、すまない。」
弱々しく呟いたリヴァイにエレンは目を見開く。
普段らしからぬ弱々しい言葉はもちろん。表情も泣いていると勘違いしてしまう程の儚げなものであったからだ。
「どうして謝るんですか?」
「・・・お前を、守れなかったからだ。」
そう呟くリヴァイにエレンは今まで感じたことのないほどの愛しさを感じた。
ずっと自分のことを考えてくれていたのだ。
そして処刑が決まった今、きっとエレンよりも心を痛めているのは彼だ。
「いいんです。こうなることは分かっていました。自分が巨人化出来ると知った時から巨人の殲滅が終わった後、自分がどうなるのか考えなかった日はありませんでしたから。」
エレンは身を起こし、リヴァイに寄り添うように隣に座る。
「俺は十分幸せでした。ミカサやアルミンは自分達も危険な目にあうかもしれないのに俺を守ろうとしてくれた。エルヴィン団長やハンジさんだって俺みたいな部下の為に尽くしてくれた。それに・・・貴方に会えた。」
エレンの言葉に少し俯きぎみであったリヴァイが顔を上げる。
「後悔や思い残すことが無いわけじゃないんです。むしろ、たくさんの未練があります。ミカサやアルミンともっと話をしたかった。エルヴィン団長やハンジさんの下で働きたかった。もっと貴方の傍にいたかった。・・・言い出したらきりが無いんです。それでも、俺は十分に幸せでした。だから、死ぬのだって何も怖くない。」
そう、幸せだったんだ。死の恐怖を忘れてしまえるほど、自分はとても幸せだった。
「俺は、怖い。」
え?、とエレンはリヴァイを見る。
「俺は、今まで人をこんなにまで愛したことがなかった。だから知らなかった。愛した奴を、お前を失うのがこんなにも怖いことなんだと初めて知ったんだ。」
「兵長・・・」
エレンはそっとリヴァイの手に触れて、微笑む。
「俺は、兵長を愛して、愛されて、とても幸せでした。本当は死にたくない。生きて貴方と生きていければどんなにいいか。でも、それは叶わない。だから・・・」
リヴァイの手に触れているのとは逆の方の手でエレンはリヴァイの頬に手を添える。
「俺は、きっと生まれ変わります。今度は巨人も何も脅威のない平和な世界で。だから、来世でもう一度俺を見つけてください。そして、愛して欲しい。ずっと傍にいてほしい。」
エレンがそっと目を閉じると、しばらく沈黙があった後、リヴァイはエレンの頬に触れ、額をコツンと合わせた。
「約束しよう。俺も、必ずお前が生まれ変わった世界で生まれ変わる。その時こそずっとお前の傍にいる。お前を守る。」
リヴァイの答えにエレンは嬉しそうに微笑む。
「きっと、きっとですよ?来世ではずっと一緒に・・・」
「きっとじゃない。必ずだ。」
そう言うと、リヴァイは少し強引にエレンにキスをした。
自信に満ち溢れた言葉と触れるだけであったが力強いキスはエレンを信じさせるのには十分だった。
「必ず・・・」
「ああ、必ずだ。」
「兵長。」
「ん?」
「もう一度、キスしてほしいです。」
「・・・ああ、お前が望むなら何度でも。」
クス、と笑ってリヴァイはもう一度エレンに優しいキスを贈った。


「愛しています。・・・リヴァイさん。」
「俺も、愛してる。エレン。」















翌日、エレンは処刑された。
しかし、リヴァイの目は絶望に陥ってはいなかった。
来世で出会う、それはリヴァイにとって大した問題ではない。
エレンの為になら、そんなものは容易いものだとリヴァイは思った。


「必ず、必ず迎えに行く。それまで待っていろ。・・・エレン。」


作品名:来世できっと・・・ 作家名:にょにょ