らんま 原作沿いコメディ
「プールう!?」
そのワードを耳にして、乱馬の顔はわかりやすく歪む。
「なによ、いいでしょ。この夏こそ泳げるようになりたいの。協力して」
「あかね、お前。一夏で泳げるようになると本気で思ってんのか。自分の不器用さを自覚するのもまた大切な……」
「うるさい、黙って協力しろ!!」
どっかん。
あかねのアッパーにより、乱馬の体は天井を突き抜ける。
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「あれが人に物を頼む時の態度か」
ほんとに可愛くないやつ。
ぶつぶつと文句を垂らしながら、乱馬は味噌汁を口に流し込む。
「あんたが悪いんでしょ」
2人のいがみ合いはいつものことだ。ちゃぶ台を囲みながら、他の面子は黙々と食事を進めていた。しかし、あかねの主張が2人でプールに行きたい、ということだと気づいた早雲がノリノリで話に割り込む。
「いいじゃないか、乱馬くん。2人仲良くプールだなんて恋人らしくて」
バシバシと背中を叩かれ、乱馬は迷惑そうに早雲を睨む。
視界の端でパンダが「ヒューヒュー」と書かれた立て札を掲げているのが見えた。
とりあえず、このふざけた父親を一発殴る。
「なによ、そんっなにプールに行きたくない訳?」
「プールに行きたくないんじゃなくて、あかねと行くのが嫌なんだい」
ばしいっ。
「よくわかったわよ! そんなに私が嫌いなのね! しつこくてすみませんでした!」
「いや、ちょっと、そういうんじゃなくって、」
言葉の綾に気づき、乱馬は焦って弁解するものの、あかねは聞く耳も持たずその場を後にした。
「らーんーまーくーんー」
「ひいいっ」
早雲の顔が般若と化し、どこからともなくドロドロ、と効果音が聞こえてくる。悲鳴を上げる乱馬をなびきがじろりと睨んだ。
「乱馬くん。あれはさすがに酷いわ。なんであかねと行くのが嫌なのよ」
「だって、なびきも知ってんだろ? あいつのカナヅチはどうやっても直んねーんだよ。無駄に期待させてガッカリさせるよりはこうやって……」
「つまり面倒くさいのね」
「……」
作品名:らんま 原作沿いコメディ 作家名:ゆゆゆ