Wizard//Magica Infinity −4−
「コヨミ~朝だぞ~」
6月17日、月曜日。一週間の週初めだ。
俺はコヨミの住む家の玄関に立ち何度も彼女の名を呼ぶ。
普段なら立場が逆なのだが…というのも二日前のあの出来事以来、コヨミとは一度も会っていない。それどころか一歩も外に出ていないようだ。
「はぁ…わかったよ。今日は先生に病欠って言っておくからな」
俺はそう言い残し家を後にした。
間違いなくコヨミは家の中にいる。俺の声が伝わって入れば良いが。
「はぁ~…あぁもう、最近ため息しか出ないな」
通学路を一人出歩く。
いつもなら隣には必ずコヨミがいた。
俺は今まで起きた出来事を一昨日からずっと考え込んでいた。
しかしその中で一番悩んだのはあのおばさんの一言だ。
「コヨミによく似た子…か」
おばさんが俺と同い年の時だからコヨミに似た子なんていてもおかしくない…と言いたいところだがこの村では話が別だ。
昔から人口が少ないこの村でそんなに驚く程似ている子に出会える可能性なんてあるだろうか。ほぼ無いに等しいだろう。
それに…あのコヨミの動揺の仕方は尋常じゃなかった。
確かに、何か確信を突かれたように驚いていた。
間違いなくコヨミは何か知っているんだ。
そうでなければあの動揺はなんと説明すれば良いのだろう。
いつも一緒にいたんだ…それぐらいわかる。
「ハルトくん?」
「あっ、凛子ちゃん」
ふと、となりから聞き覚えのある声が聞こえてきた。凛子ちゃんだ。
とりあえず、コヨミを探るのは俺自身としても気分は良くない。
今は彼女がいつもどおりに俺たちの目の前に現れることを信じてみよう。
作品名:Wizard//Magica Infinity −4− 作家名:a-o-w