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D.C.Ⅱ 枯れない桜もう一つの物語

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序章



これは一つの桜が起こした小さな物語。


それぞれの物語にはたくさんの人達の思いが込められて輝いている。これはそんな可能性の物語













「…………………」

何も無い空間に俺は居た。
水も空気も無いようなただふわふわした現実味のない感触しかないような空間。
そこに俺は居た。

「…………ここはどこだ?」

それが最初の感想だった。そんなことを呟くと

「どこだと思う?」

いきなり声がした。

俺は思わず辺りを見回す。しかし誰もいない。

「誰かいるのか?いるなら返事をしてくれ!」

少し大きめの声で呼んでみる。

「返事ならしたじゃん」
また声が聞こえてくる。

「それよりもさっきの質問に答えてよ~」
「質問?」
「そう!ここはどこだと思う?」
その声はどこか楽しそうに聞こえてくる。

「そんな事は良いだろ。まずお前は誰だ?どこにいる?」

俺は逆に問い返す。

「私?」
「そうお前だ」

声は悩んでいるのか「うーん」と声を出しながら考えてる?みたいだ。

「私はね、魔法使いだよ」
声は当たり前のように言った。

「………………は?」
「聞こえなかったの?私は魔法使いだよ」
そういう声は確認させるように
もう一度言った。
「いや、魔法使いって…」
「うらやましい?」
「そんなことあるか!」

声はさも楽しそうに
「嘘だ~。楽しいよ?魔法使い」
「そんなこと無いだろ。魔法使いなんか居るわけ無いんだから」
「………そう」

声が少し落ち込んだように俺には聞こえた。だけどそれもつかの間で
「うん!これであなたの質問には答えたよ!」

明るい声が聞こえ
「じゃあ私の質問にも答えてね?ここはどこでしょうか?」
俺に問いかける。

「ここか?」
「うん」

俺は少し考える。
(宇宙なら酸素がないから息が出来ないけど呼吸が出来るから宇宙では無いよな……)

「どうしたの~?早く答えてよ~」
声が暇そうに言っている。

「そうだな~…夢の中か?」
俺はとりあえずこう言った。

すると声が驚いたように
「うわ!?一回で半分当てたよ~」「半分?」
俺は問いかける。

「うん。半分だよ」
声も落ち着いたようだ。
「半分ってどういうことだ?」

「それはね………!!!」
声が突然止まる。

「どうした?」

「ごめんね?もう時間みたい」
声が残念そうに謝る。

「時間ってなんだよ?」

「君ももうすぐ分かるから」
声が遠のく。

「忘れないでね。また会えるから!またお話できるから!そしたら────」
最後まで聞き取れずに、俺は意識を失った。