二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【黒バス】火青♀【R-15】

INDEX|1ページ/1ページ|

 
夜、公園の小さなバスケの練習場への道のり。
今はテスト前なので部活動は全般的に禁止されているし、カントクからもちゃんと勉強しなさいよ? もし駄目だったら分かってるでしょうね……? と言われ、大人しく勉強していたわけだがついに耐えきれず向かっている。
「ま、息抜きって事で……」
うんうん、と頷きながらボールを持って角を曲がると、ドリブルの音が聞こえた。
「誰かいるのか……?」
声を掛けると、ドリブルの手が止まった。
電灯に照らされた後ろ姿に、思わず火神は息を呑んだ。

「ん? 誰だアンタ」
攻撃的な口調、確固たる意志を宿したような瞳、普通の人よりも少し黒めの健康的な肌、肩で切り揃えられた綺麗な青い髪。
「てめぇこそ誰だよ」
「アタシか? あたしは青峰。青峰 夏樹だ」
「俺は 火神 大我だ」
青峰は火神の手にあるバスケットボールを見ると、にやりと笑い火神をじっと見つめた。
「……っなんだよ」
「そこそこバスケできそうじゃん、ちょっと付き合えよ。1on1してやる」
「何勝手に……!!」
ぐっと睨みつけた火神を無視して、青峰はボールをひょいと手に取った。
「アタシが5本決めたらアタシの勝ちな。一回でもアンタがアタシを止められたらアンタの勝ちで」
「は? んなもんお前の負けが決まったようなもんじゃねーか」
「アタシに勝てるのは、アタシだけなんだよ」
ふっと不敵に笑った青峰につられるようにして、火神も口角を釣り上げた。
「いいぜ、来いよ」
「女だからって舐めてると痛い目見るからな」

青峰のフェイントを見切り、手を伸ばすが、一歩届かない。
「くっ……!」
型も何もないのに、ボールはリングへと吸い込まれていく。
「これで4本目。後1本だ」
青峰はがっかりしたようにボールを手に取ると、俺を睨みつけた。
「手加減してねぇよなぁ?」
「は……? なんで俺がお前に手加減なんぞしなくちゃならねえんだよ」
悔しい事に全力でやっても勝てるかどうかは厳しい状況だってのに、手加減なぞしてられるか。
「あっそ。じゃあお前の実力はその程度だったってことか」
ダンッ! とひと際大きくドリブルの音が響き、瞬時に迫った青峰が横を通り抜けようとする。
「そう何度も抜かれてたまるかっ………!!」
思いっきり手を伸ばし、ボールを奪いにかかる。しかし、ボールは青峰の手から離れ、宙を舞っていた。
「……!! 負けて、堪るかああああああ!!」
体勢を立て直し、跳躍。手のひらで思いっきりボールをはたき落した。
「俺の勝ちだな」
振り向くと、青峰は地面にへたり込んでいた。
「なんだお前、体力切れか?」
「そっか。アタシは……負けたのか」
「おい、青峰?」
「……負けた、か……。久しぶりだなぁ、本気の相手とやり合ったのは。アタシが女だからって、ほとんどの奴が手加減して、負けた理由にしやがるんだからなあ。なあ火神だっけ?」
「なんだよ」
「明日の夕方空いてるか? また、勝負しようぜ」
ニッと笑った青峰の表情が、女の子らしいと感じた。

次の日も、またその次の日も、俺と青峰は公園で勝負をした。
俺が負ける日もあったし、勝つ日もあった。ただ、楽しかった。
1月程たった頃だろうか、青峰はなんの前触れもなく、ぱたりと姿を現さなくなった。
3日しても、1週間しても、青峰は来ない。

「なんなんだよ……ったく……」
むすりとしながらパンを頬張る。青峰と会わなくなってから、妙に青峰の顔を思い出す。
「火神君? 随分と不機嫌そうですね」
「別に。ただ、いつも会ってる奴が急に来なくなったからバスケで張り合う相手が1人減ってつまんねぇってだけだよ」
「それは……もしかして、女性ですか?」
「あんな生意気な女は女とは言えねえけどな」
「それはそれは……それで火神君は少し前まで楽しそうんだったんですね」
クスクスと笑う黒子。
「どういう意味だよそれ」
「火神君は、恋してるみたいですよ」
「恋……?」

黒子の余計なひと言を聞いてから、公園に行けなくなった。目を逸らし続けていた出来事を見せつけられた気分だ。
「なんだよ恋って……」
そりゃあ青峰と一緒に居ると楽しいし、可愛い所もあるし、バスケしてたらすっげー楽しいけど……
「ああ、これがベタ惚れってやつか」
自分で言ってて馬鹿馬鹿しくなってきた。青峰の事が好きならそれでいいじゃねえか。

久しぶりの公園が懐かしい。
空を見上げながら歩いていると、聞きたかった声が聞こえた。
「火神!?」
「青峰!?」
青峰は俺を見て、目を丸くした後、すぐに目を釣り上げた。
「なんでずっと来なかったんだよ!」
「それはこっちの台詞だ!! 急にお前が来なくなったんじゃねえか!」
「そっ、それは……あ、アタシの事はいいじゃねえか!」
「良くねえよ!? なんで来なかったんだよ! 心配しただろ!」
「その……補習だよ、補習。ってか心配? アンタが?」
気まずそうに目を逸らしていた青峰は、訝しげに俺を見た。その姿すらも、愛おしい。
「心配しちゃ悪いか?」
「ち、ちがっ……そうじゃなくて! アタシだって心配したというか何と言うか……い、いや、やっぱ今のなし! そうじゃなくて――!?」
顔を赤くして言葉を並べたてる青峰を、思わず抱き寄せた。
「ちょ、何してんだよ!? 離せ! アタシの事何とも思ってないならさっさとアタシを離しやがれ!! かっ、勘違いしたらどうすんだよ! じゃなくて!! えっと、はやく離せ――!?」
黙らせるように、唇を重ねた。
「なっ、なっ……」
「勘違いすればいい。俺は、お前が好きだ」
「は……? いきなり何言ってんだバカ……」
もう一度、唇を重ねる。先ほどよりも深く、長く。
「ん……ふぁ……」
青峰の力が抜けた所で舌をそっと絡ませる。
崩れ落ちそうな青峰の腰をしっかり抱え、何度もキスを繰り返した。
どのくらい経っただろうか。青峰は俺から少し視線を逸らすと、小さく呟いた。

「アタシもアンタが好きだよ」
「知ってる」

投げ出されたボールを拾い、青峰に笑いかけた。
「ほら、さっさと勝負しようぜ!」