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【ギアス/スザルル】終焉

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穏やかだ。静かだ。何をも邪魔しない、何にも邪魔されない。……幸せだ。 一足先に眠ったルルーシュの頬を突く。柔らかい白磁は柔らかくあたたかな感触がした。
 余程疲れてしまったのか、いつもなら嫌がる風にスザクの指から逃れようとするのに、今日はされるがままになっている。眠りの浅いルルーシュにしては深く寝入っているらしい様子に、自然と笑みが零れた。さらさらの細い髪を指に絡め、梳いては毛先を弄ぶ。朝に近いのか昼に近いのか、よく分からない時間帯特有の眩しさが、漆黒を柔らかく見せた。一体何の夢を見ているのだろう?幸せそうな顔をして、こちらに寝顔を向けている。普段なら絶対に見せてはくれないのに。
 今日だけは特別。ルルーシュは微睡みながらそう言った。幸せな休日に、無粋な事はしない。だから今日だけ、今日だけ告げてやる、まどろみながら呟かれた愛の言葉が、低く耳に残っている。珍しい恋人の言葉に、こちらが逆に恥ずかしくなってしまったほど、彼らしからぬ饒舌な愛の言葉だった。
 今日のルルーシュはとにかく変だ。たくさんキスをしても叱らないし、自分から好きだと言ってみたり。そして今はこの上無く幸福な笑顔で、いつもは背けてしまう寝顔を無防備に晒している。
 ルルーシュらしくはない。けれど、こういうのも悪くない。無防備な姿を見せてくれたのは、スザクの傍が安心するという証明だろうか。あぁ、なんて幸せなんだ。胸を満たす温かい気持ちに欠伸が込み上げた。つい噛み殺しそうになって、授業中でも仕事中でもないのだから、そんな必要は無いと盛大に欠伸をする。なんてったって、今日は魂の安息日だ。誰にも憚られることなく、思う存分体を休めることが出来る。
漸くやって来た眠気に、もう一度ルルーシュを見下ろしてから布団に潜り込む。絡めあった手は少し指先が冷たかった。
 枕元に散乱する薬とピルケースが邪魔になり、空いた手で無造作に押しのける。ルルーシュは体が細いから、そしてスザクは体質的になかなか薬が効かないから、こうして寝付くのに差が出てしまった。けれど彼の寝顔を見たり、色んなことを思い出す時間が出来たから、その時間差も、悪くはない。
 もう一度大欠伸。今度は噛み殺したりしなかった。二人一緒に幸せになる唯一の選択肢、その終わりの到来に幸せを噛みしめながら、睡魔に身を委ねる。
 そして一言、
「おやすみ、ルルーシュ」

そういう訳で、

はい、これでおしまい。