ずっと
木吉にとっての最後の大会に華を飾れた。
それは俺にとって大事な一瞬だった。
涙する木吉に部員たちやカントク、その光景は今もまぶたの裏に焼きついている。
そんなWCの一週間後、俺は木吉の家に遊びに来ていた。
『お疲れさん』
「おう、日向もお疲れ様」
『さんきゅ、お前・・・明日から入院だっけか?』
「うん、そうだぞ・・・ホントはもっとお前らとバスケしたいけどな」
『ダァホ!んなこと言ってねぇでさっさと治せ、本当に二度とバスケ出来なくなるだろ』
木吉の頭を軽く小突く。
いたいなぁ~といいながらにこにこと笑みをこぼす。
その様子に俺はため息をこぼす
「なぁ、日向」
急に木吉の声のトーンが変わる。
ふざけてるような声ではない。
バスケしてるときと同じ真剣な声。
「日向、真剣に聞いてくれるか?」
くもりのないねずみ色の目が俺を見つめる。
『おう。なんだよ』
「あの、な・・・」
言いにくいのか目線をそらしもじもじとしている。
しばらくすると決心したのか口を開く
「日向、この先もずっと俺の傍にいてくれませんか」
何がおきたのかわからない。
木吉の言葉が頭の中を埋め尽くす。
俺の頬には温かなものが滴り落ちる。
『きよっ・・・』
言葉を発しようとしたとき大きな体に包まれた
優しい木吉の匂い
目からはとめどなく滴り落ちる涙。
「ずっと・・・一緒にいてくれ・・・愛してる」
そうつぶやく声と抱きしめる腕は少し震えていて
ああ、こいつも泣いてるんだな、って実感する。
すごく・・・愛おしい
静かに震える木吉の大きな背中に腕を回して抱きしめ返す
『当たり前だろ・・・ダァホ・・・!』
俺の言葉に答えるかのように俺の唇には温かくて大好きな唇が重なった。
ベッドの上、視界は真っ白な天井
ぼーっとしながら考える。
あいつと付き合ってからもう何年たつだろう
もう俺も木吉も30のおっさんだ。
一緒のアパートで一緒に生活してる。
「じゅんぺー」
上から声が聞こえる。
俺を呼ぶ低くて優しい声
『ん・・・どーした?鉄平』
「大好きだぞ・・・ずっと」
『知ってる』
ずっといっしょにいよーな。
end