なんて悲しい結末
「冗談、だろ?」
存在自体が冗談みたいな男だから、なんだってありだと思ってたけど、それでもこんなことってないだろ。これじゃころしたというより、死んじゃったって感じだ。死んだ、でさえない。だって、とても、これは、
よろ、と立ち上がる。怪物が落ちた先を見やった。さすがに地面がとおくて、目をこらさないとみえない。俺は何かいおうと思った。安否確認の言葉を。
「ねぇ、死んじゃった?」
一緒にいろんなものがおちていったみたいだけど、落下点にそれらがおちているということは、下敷きになったのだろう。ふつうに考えれば。怪物は、こんなことで死ぬのか?そんな興ざめなことがあっただろうか。年月が彼を人間にしたとでも?
だれかの悲鳴がきこえる。だれかが俺を罵るこえがする。だれかが追いかけてくる音がする。なぁ、化け物、俺、心中してやろうか!ふら、とたちあがったのだけど、数秒立ち尽くして崖っぷちから安全地帯へと引き返す。逃げろよ!という至極まっとうな理性が頭を占拠して、俺は頭を働かせ始めた。一緒に死んでやるには、心が残酷で冷酷で感傷を欠いてしまった。頭がいい、てこういうとき損だよなぁ。
なんて悲しい結末