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りんはるちゃんアラビアンパロ

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実際、口内へ舌を入れても抵抗を感じていないようだ。
もう何度目かなので慣れてきたのだろう。
たぶん、その気持ちの良さも知っているのだろう。
ハルカの身体から強張りが無くなっている。その身体が熱くなっているのを感じる。
自分だって、身体が芯から熱い。
しばらくして、少し離れた。
壁を背にして立つハルカの髪をなでる。
相手に触れていたいと思う。
その感触が、体温が、心地良くて、愛おしく感じて、癖になる。
ハルカはリンから眼をそらしている。
「……おまえ、こういうことに慣れてるだろう」
ふと、ハルカが言った。
気になるのか、とリンはからかおうかとも思ったが、遊び人のように思われるのは困ると判断して、ハルカの顔のほうにやっていた手をおろし、きちんと説明することにする。
「王子だったころに、この手のことで誘惑されて罠に落ちたらマズいからって、経験を積まされた」
もちろんキス以上のことも経験済みである。
「だが、素人相手はねぇよ」
「ああ」
ハルカがリンを見た。
「素人童貞というヤツだな」
おまえ変な用語は知ってんだな、とか、得意気な顔して言ってんじゃねぇよ、という台詞がリンの頭をよぎった。
しかし、そんなハルカを無茶苦茶可愛く感じてしまって、自分は末期だと思う。
もうこの病は治らなさそうだ。
「王に即位してから、仕事ばっかりしていて、息抜きに泳いだり身体をきたえたりするって毎日を続けてたら、なんか、まわりからやけに心配されるようになった。重臣からまで、恋愛を楽しんでみられてはいかがでしょうって勧められた。いや、そんな暇ねぇって言ったんだが、恋というものは時間があるからするものではありません、時間があろうがなかろうが落ちるものなんです、って言われた」
そんなことを言われても、当時のリンはぴんと来なくて、はぁ? という感じだった。
「だから、おまえの存在が明らかになったときには、みんな大喜びしてた」
「……だから、この宮殿に来るといつも大歓迎されるのか」
街のウワサを聞いて慌てた様子でリンに知らせに来た重臣は、実は、知らせに来るまえにハルカの素性について調べさせたようだ。
調べて、ハルカが政治に関わるどの勢力とも結びついていないことや、学校にいたころの成績が極めて優秀であったことや、王妃としての素養は申し分ないことを知り、だからこそ、責任を取らないのかとリンをけしかけるようなことを言ったらしい。
「それで」
リンは言う。
「おまえはどうなんだ?」
ニヤと笑って、ハルカに問いかけた。
「おまえ、俺以外に恋愛経験ねぇんだろ?」
ハルカは答えない。
予想の範囲内だ。
顔を近づける。
それから。
「キスをしたのは俺が初めてで、それ以上のことはしたことがない。違うか?」
声のトーンを落として聞いた。
経験を積んでいるときに、相手の女性から、いい声してる、と言われたことが何度かあった。息がかかるぐらいの距離で低くささやかれると性的に来るものがあるそうだ。
そして、この声はハルカにも効くらしい。
わずかだがハルカの首筋が震えた。
いい反応だとリンは内心ニヤリと笑う。
卑怯なことをしているようだが、それでも押していかなければ先へと進んでいけない。
リンはハルカの腰へと手をやる。
華やかな上衣の下へ手を差し入れる。
ハルカも身体をきたえている。
けれども、そこにあるのはやはり女の柔肌だ。
男の大きな手のひらで、触れる。
なであげる。
ハルカは身体を少し揺らし、顔を見られるのを避けるようにうつむいた。
その様子を可愛いと思う。
さて、どうするか。
そうリンが考えたとき。
リンの手をハルカが押さえた。
え、とリンは思った。
「ああ、たしかに、したことがない」
ハルカが言った。
うつむいていた顔をあげる。
その眼がリンの眼をとらえた。
「婚前交渉はしない主義なんだ」
きっぱりとハルカは強い表情で告げた。
リンは眼を大きく開き、固まった。
主義、と言われると尊重しなければいけない気がして、動けなくなってしまった。
隙を突くように、ハルカは動く。
リンの手を押しのけて、離れていく。
出入り口のほうへと進んでいる。
ハッとリンは我に返った。
そして、怒鳴る。
「そんな主義、今すぐ捨てろ! それか、さっさと嫁いで来い!」
だが、ハルカは返事しない。立ち止まりもしなかった。
部屋にひとりになったリンは歩きだす。
おそらくハルカは帰らないだろう。プールに行くつもりだろう。
だから、追うことにする。
宮女たちに声をかけられるまえから泳ぎたかった。
自分ひとりでも泳ぎたいと思っていたし、ハルカと一緒ならもっといい。
それに。
口説き落とす機会があるかもしれない。
リンは好戦的に瞳をきらめかせ、やがてハルカに追いつき、その隣に並んだ。