雑記
蔑みや哀れみに耐え兼ねて、私は人目を避ける様になった。親しいと思っていた者達も今はもう誰も会いにこない。
今世界が変わりつつあるという、自分の仲間が増えるのは内心うれしいと思っていた。
ある日、顔見知り程度だった男が付き合いたいと言ってきた、大して知らない相手だったので
返事に戸惑っていると男は「そっか、ならいいよ。」と言ってあっさりと引き下がった。
数日後、その男が犬とやっているのを見たとの噂を聞いた。
その男はげてもの食いで有名で、私に告白してきたのも弱っている相手なら簡単につけ込めると思ったのだろう。
病に蝕まれ弱ってからというものの、怪しげな宗教の勧誘や占い師など
食い物にしようとハイエナのようにたかって来る。
君を助けたい。と言い、寄ってきた怪しげな拝み屋に
エーテルによって変形して気味悪い色になり、悪臭を放つ腕をなすりつけたら気味悪がって逃げていった。
この狭い土地から抜け出したいと願っていても、日々暮らしていくのがやっとな自分にはかなわぬ願いだ。
昔、病気になった私の外見が醜いと罵って来た知り合いが、恋人がエーテル病にかかってから行方不明になってしまったと言って
なんの臆面もなく泣きついてきたのを思い出した。
エーテル病によって背中に羽が生えるという事例があるらしい、飛べるような羽が生えればひょっとしたら遠くへ行けるのだろうか
夢物語にすがるような話だが、忌々しい風も今は少し心地よく感じる。