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一夜ばかし*おまけ

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――最果ての階段前

「やれやれ、これで一件落着じゃな」
「ああ、これでよかった。……人とはやはり愛おしいものだな」
「まったく、おぬしの“罪滅ぼし”をあんな小娘に押し付けおって……この女狐め」
「煩いぞこの夜鷹。……だがあの娘には悪いことをしたことは重々承知している、これでも申し訳ないと思っているのだ」
「まあ、結局のところあやつもあの少年に出会って本当の自分を取り戻して行ったのじゃ。結果オーライではないか」
「そう言ってもらえると救われる。私はただあの娘に幸せになってもらいたかった。ただ、それだけだったんだ……」
「おぬし……」
「さて、不埒な狐憑きも年貢の納め時のようだな。楽しいおしゃべりは終わりだ。私も既に死んだ身、行かねば」
「のう、狐よ」
「なんだ、鷹の神よ」
「おぬしは、人の優しさがどんなものかわかったのか?」
「ふふふ……さっぱりだ。結局、死んでも狐は狐ということだな。父とあいつが残した難題、これだけが心残りだったが、こればかりはいかんともしがたい。次の世に賭けるとしよう」
「そう、か」
「ではさらばだ、鷹の。娘と少年、そしてお前さん方と過ごした時は、なかなか楽しかった――」
――
――――
――――――
「狐よ、おぬしは最後まで気づかなかったのじゃな」
「おぬしほど優しくて愛おしい狐を、私は見たことが無いよ」
「今まで、孤白を、ありがとう」
作品名:一夜ばかし*おまけ 作家名:良多一文