お悩み解決戦線
「……部の問題をうっかりおまえに口を滑らせたのが、俺の失態になっていないといいんだがな」
『誰にも言えなくて困りきってたくせに〜』
偶然にもマネージャーがストーカー行為に及んでいると知ってしまった剣道部員は、やはり話すべきではなかったのではと、後悔の念が沸き上がってくる。
だが、事が公になれば剣道部全体の問題になってくるし、大会前に処理しておきたい緊急事項でもあった。
そして、情けないことに自身だけで解決できる問題ではないことも、スコールは自覚していた。
『オレ的には、人付き合いをことごとく避けようとするスコールがやっとこさ始めた剣道部だから、全力で応援するつもりなんだけど』
「応援したいなら、全力で何もしないでくれ」
『ソレもしかして、オレに死ねって言ってる?』
大袈裟な、と思ったが、バッツなら爺さんになっても騒がしいままの気がして、妙に納得してしまう。
『バッツーッ! なぁにやってるっすか! 帰るっすよーッ』
『うお、置いてくなよ。今行くって』
じゃあな、と切られた電話の向こうから、ティーダの声が僅かに耳に届く。
「……だから、関係のないやつを巻き込むな……」
自分が口を滑らせた結果を垣間見て、スコールは力なく項垂れた。
作品名:お悩み解決戦線 作家名:シノ@ようやく新入社員