とある日の、あるニュース
今日(いまにち)でハートブレイクヘッドライン
※同棲設定
「なぁーリモコンどこやっけ、日向」
『机の下ですよ』
「おお、あった」
『んじゃ、俺は買い物にいってきますね』
「おーいってらー」
ガチャ
日向が買い物に出て直ぐにテレビをつけた。
ピッ
(続いてのニュースです。
昨年の失恋人口に関する調査結果が発表されました。)
『なんやこれ…?』
いつも見ているニュース番組の局にチャンネルを変えると美人で腕の立つことで有名な女子アナがへんなことを言っていた。
局のほうも想定外だったのだろか本番中だというのにざわついている。
もちろん、それに視聴者のワシもついていけるわけも無くただよくわからない心境でテレビを眺めていた。
内容は失恋人口がどうのこうの。
毎分23人も振られてるとかおよそ1200万人が振られている人の数だのこの局は面白い統計して発表するとかなかなかおもろいなー、たまにはこういう変わったのもええなーと思いながら見ていた。
(※なお、この数字に何ひとつ正確な調査や統計は含まれておりません。)
ん?はぁ?なんやのこれ…
もしかしてこの女子アナ…自分が失恋したからって全国ネットでこんなこと言ってるんか!?
「はー…なんやねんこれ…」
なーにが世界が変わるかもしれないやねん。
言ってることがよーわからん。
『ただいまー…って、今吉さん何見てるんです?』
そう思っていると日向が買い物から帰ってきた。
「ニュース…のはずなんやけどなぁ…」
『はぁ?』
「まぁ、見てればわかるで?」
『はぁ…?』
そういうと日向は自分の隣に座り、コンビニかなんかで買ってきたであろうスナック菓子をもそもそ食べ始めた。
かわええな…
頭をなでると照れたのかそっぽ向いてしまった。
そんないい雰囲気の中またあの変なニュースが流れた。
今度の内容は自分の目の前で心を奪った相手が消えたら…という内容だった。
横目でちらりと日向を見る。
もし自分が…とそのシチュエーションを思い浮かべてみた。
今自分らは付き合ってる。
ワシは日向がいなきゃ生きていけへん。
だけどもしある日、その日向がいなくなったとしたら?
何も考えられへん。いやや。
(※なお、この仮定に何ひとつ明確な根拠や証明は含まれておりません。)
そんなこと考えながらニュースを見ているとふいに日向が口を開いた。
『このニュースおかしいっすね、いなくなる前に捕まえればよかったのに』
「え?」
『だってそうじゃないですか、心奪われたなら告白して相手の心を捕まえておけばその相手は自分の目の前から消えることも無かったんじゃないですかね?』
「ほぅ…」
『俺、今吉さんに告白してよかったって思ってます。だって告白しなかったら俺の隣にはいないでしょ?』
「日向…」
『俺今吉さんに出会えて世界が変わったんですから…』
恥ずかしそうに笑う日向を見て思わず抱きしめた
「せやな…ワシも日向と同じや」
そういうと日向は嬉しそうに目を細め抱きしめ返してくれた。
自分らはお互いに出会ったことで世界が変わったことにこの変なニュースに気付かされた。
あの女子アナに感謝せなあかんな。
end
作品名:とある日の、あるニュース 作家名:日向夏