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理想の足堂を追及した結果

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2月5日午後3時47分
いつものように革靴を箱に積めていると、見慣れない刑務官が僕の方へ近づい てきた。
「お前に面会したい奴がいる。来い」
面会?僕と?刑務所に入ってもう六年は経つが、一度も面会人なんて来たことがない。まぁ親とも疎遠だし、恋人やパートナーなんて もんはいないし、ちゃんとした友人もいないし、当たり前か。そしたら一体誰が面会しに...?
頭の中で試行錯誤していると、いつの間にか面会室とやらに着いた。 前職の関係で1回だけ入ったことがあるがやはり異質な雰囲気を感じる
コンクリート打ちっぱなしの壁と床、無機質な椅子。そして、部屋の真ん中を区切る透明で頑丈なプラスチックの板...
囚人が面会するためだけに作られた部屋。
そしてそこにいたのは、7年前僕が犯人の事件を一緒に追っていた 上司の堂島さんだった。 一瞬何がおこったのか理解できなかった。いやできるはずがない
「久しぶりだな。まぁ、座れ」
まるで何もなかったかのように話かけて くれている堂島さんを見て、胸が痛む。 今僕はスーツじゃなくて囚人服を着ていて、解決するのは事件じゃなくてちょっ とした揉め事ぐらいで。昔とは全然違うんですから
仕方なく堂島さんに促されるまま椅子を引いて座る。座り心地は案の定悪い
「…...何の用ですか?」
うつ向いて小さい声で。そうでないと話せなくなりそうで。
「いや、特に用はない。...…少しお前と話 がしたくてな。なんか俺に聞いてみたいことはないか?」
いろいろありますよ。なんで今さら僕に 会いにきたんだ、だとか菜々子ちゃんは 元気にしてるか、だとかたった30分じゃ 言えないことばかりです
だけど、一番知りたいことは
「...なんであの時救急車なんて呼んだんですか?」
「疲れているだろうと思ったからだ。」
どうせこんなことを言うだろうと思った。でもこれは多分嘘じゃない。僕のことを本当に気遣って救急車を呼んだのだろう。 それがまた僕にとっては苦痛でしかな い。
「僕は、決して許されてはいけないこと をしました。なのに、何で堂島さんは..….」
「…...」
いっそのこと突き放してくれればいいの に。堂島さんは馬鹿みたいに優しい
「僕は現実が嫌いでした。何もかも上手 くいかなくて、つまらくて。目を背けて た」
気がつくと自分のことについて語っていた。きっと今なら本当のことが言えるか も知れないと、そう思った

「でも、あの時。堂島さんが救急車を呼んでくれていたと気づいたとき、『僕に も心配してくれている人がいるんだ』って思いました。現実も悪くないかもって でも、それと同時にとてつもない罪悪感が僕を襲ってきて...。自分は何てことを してしまったんだろう。心配してくれていた人を裏切ってまで人を殺して何が楽しかったんだろうって」
やっと自分の胸の内が言えた。だが、スッキリしたと同時にまた胸が痛む 。
「...俺は、その言葉が聞きたかったんだ。」
思わず目を見開く。さっきは来た理由濁してたくせにいきなりなんだって言うん だ 。
「ちゃんと反省してるじゃないか。もう、それでいい。」
やめてくれ、こんなんじゃ僕がただ堂島 さんに許しを請うたみたいじゃないか。 僕はただ、堂島さんに感謝の気持ちを伝えたかっただけなのに
「そんな小学生じゃないんだから...許し てもらおうなんて思ってませんよ」
「だってお前、俺のおかげで『現実だって悪くない』って思ったんだろ?なの に、俺が足立を突き放したら、何も変わ らないじゃねぇか」
僕は既に変わりましたよ。6年前、あなた のおかげで
「..…堂島さん、僕は菜々子ちゃんだって酷 い目に合わせたんですよ?」
「結果助かったんだ。...今度はお前が助かる番だろ?」
自分の娘を死の淵においやった男を救お うだなんて、堂島さんは僕を心配しすぎ だ。
だったらとことん、心配させてやる。ヘ タレな部下を演じ続けてやる。
「...じゃあ、約束してくださいよ あと五年後、僕が出所するとき...迎えに きてくれますか?」
「分かった。約束する」
「絶対。ですからね」
僕は涙でぐしゃぐしゃの顔を上げた

end
作品名:理想の足堂を追及した結果 作家名:amane