Wizard//Magica Infinity −8−
「『フレイム』ドラゴン!!『ボォーボォー!ボォーボォーボォー!!』」
「さぁ、ショータイムだ。操真ハルト」
「やるしか、ないみたいだな」
「『ドライバーオン』プリーズ!」
ハルトは腰にドライバーを出現させ、左手の中指に赤色の指輪を装着させる。
「『フレイム』プリーズ!『ヒーヒー!ヒーヒーヒー!!』」
ハルトの前には、もう一人の自分−ハルト−。
もう一人の自分はかつて、杏子のソウルジェムから生成したウィザードリングを用いて変身し、自分に向かって一歩、また一歩と歩みよってくる。
「返せよ、それ、杏子の指輪なんだ」
「何度も同じことを言わせるな。これは『俺』の指輪だ」
ウィザード・フレイムドラゴンは両手にウィザーソードガンを構えた。
それを見越して先手必勝と考えたハルトも片手にウィザーソードガンを構え、ウィザード・フレイムドラゴンに向かって一気に距離を詰める。
「訳わかんないこと言うな!それ、返してもらうぞ!」
「まぁいい。いずれにせよお前は俺と一つになる運命にある。ならば、さっさとお前を弱体化させ取り込めば良いことだっ!」
剣と剣がぶつかり合い、火花が舞う。
「ふっ、はぁっ!!」
「弱いっ…!!」
「っ!!?危なっ!!」
しかし、ハルトの華麗な剣さばきは全て受け止められ、自分をも上回る瞬足の剣さばきを間一髪で回避した。
ハルトは負けじと続いて右手に装着された指輪で魔法を発動させる。
「『エクステンド』プリーズ!」
「自分の弱点ぐらいわかりきっている!指輪さえなければ魔法は発動も維持もできない!」
伸びた左腕でウィザード・フレイムドラゴンの左手に装着された指輪を奪還しようと試みた…が。
「なにか勘違いしていないか?おまえは、俺の力に一歩たりとも及ばない!」
それをいとも容易くなぎ払い、お返しへとハルトに回し蹴りを浴びさせた。
「うぇっぐふ…あ…」
強烈な痛みが自分の腹部を襲う。
あまりの衝撃に膝を着いてしまった。
「どうだ、操真ハルト。これが『絶望』の力だ」
「絶…望…?」
やばい。
なにもかもが桁違いだ。
このままじゃ負ける。
絶望に負けてしまう。
だけど…こんなところで俺は…。
「俺は…負けられない。悪いが、俺は絶望を受け入れられない!!」
「その威勢もどこまで持つか、楽しみだ」
ハルトは再び立ち上がり、ウィザーソードガンを構えた。
「これは…厄介な敵だな」
作品名:Wizard//Magica Infinity −8− 作家名:a-o-w