二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

弁慶の手紙

INDEX|1ページ/1ページ|

 
「あぁ、弁慶ならこの前、トラックに轢かれそうになった小さい娘を助けて、」

嫌な予感しかしない。吐き気がする。

「さすがにトラックには勝てないよな。潰れちまったってさ。」





頭が真っ白になった。






「弁慶!この鉄骨運んでくれたら、今度の試合全部ストレートで勝負してやるよ!」
「それじゃあ全部ホームランだ。」
「…おい、なめてんじゃねぇよ。」
「よし、わかった、運んでやろう。」
弁慶が鉄骨を持ち上げた。



(もん太、チェンジアップで三振だ!)
(優勝だぞ、もん太!)

(ゆ、優勝…)

「さぁ、もん太!!全力でこい!!」




「べ、弁慶…」
「すまん、もん太。打たなかった俺が悪いんだ。」

弁慶のベンチへ帰っていく背中は、とても寂しそうに見えた。


それから弁慶は職場に来なくなった。







「う、嘘…。弁慶が、もう…いない?」

何も考えられない。死ぬほど苦しい心臓が、大きな音を立てて鼓動する。

今まで一緒に仕事をして、野球やって、楽しく過ごせてたのに。

こんな形で終わるなんて。

気付いたら、目の前に居たやつを殴っていた。




12月25日
寺で修行してた俺に、一通の手紙が届いた。
時空メールだった。

差出人は、

「べ、弁慶……っ」

俺はすぐに封を開けて、手紙を読んだ。


《もん太へ

もん太、メリークリスマス。
俺がなんで時空メールを出したかというと、お前に伝えたいことがあるからだ。
口で言えば済む話なのだが、少し気恥ずかしくなってしまってなかなか言えなかったんだ。

俺はもん太がずっと好きだった。

ただの友達じゃなく、もっと深い関係になれたらいいと思っている。
じゃあ、返事を心待ちにしているぞ。
手紙なんか卑怯だと思うが、許してくれ。
これが、俺の精一杯だ。

弁慶》


「…ばか………………何を、今更……………っ」

涙が溢れてくる。泣くのなんて柄じゃない。

でも、

「な、涙がッ…とま、んねぇ……っ!!」


もし、弁慶が俺の前にまた現れたら、

今度は絶対に言おう。

弁慶……………







「………………………………………………………好きだよ……。」
作品名:弁慶の手紙 作家名:ハウゼ