むこうがわ
駅のホームでユースタス屋を見た。見知らぬ女と一緒だった。
女は髪の長い、おとなしそうな、とてもユースタス屋が興味を示しそうにない女だった。
だがそれに反してユースタス屋はひどく女を大事にしているようだった。端から見ればそんな素振りなど全くないように見えたが、何年も悪縁で繋がるおれには手に取るようにそれがわかった。
女の方もそれをわかっているようだった。
おれがこの状況を見たのは電車が駅のホームから出発するまでのわずかな時間であったが、それはとてもおれを動揺させた。
電車のドアが閉まると同時に、おれの目を見開いた間抜けな顔がガラスに写って目に飛び込んできた。
ああおれは今、なんて酷い顔をしているんだ。