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こちら、妖怪イタリア屋!

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「に~ちゃ~ん!」
長い廊下をバタバタと走っているのはフェリシアーノだ。
「何だ、うるせえぞこのやろう。」
フェリシアーノの後ろから、すうっと音もなく出てきたのは長い茶髪の青年。緑色の瞳をしており、フェリシアーノとそっくりであった。
「ああ、こんなとこにいたの。あのねあのね、今日から来てくれることになった、ルートと菊だよ!」
フェリシアーノの後ろにまた音もなく現れた人物が二人いた。金髪碧眼の青年はルートヴィヒ。黒髪黒眼の青年が、菊。じっと菊とルートヴィヒを見つめていたが、ふっと視線を反らすとボソリとつぶやいた。
「俺は、ロヴィーノ。ロヴィーノ・ヴァルガス。」
「俺はルートヴィヒだ。よろしく頼む。」
「私は菊ともうします。宜しくお願いします。」
二人も微笑みながら返した。
「ウヴェ?あれ?兄ちゃんなんか友好的だね?」
フェリシアーノが戸惑ったようにロヴィーノに声をかけた。すると、ロヴィーノは仏頂面でしれっとこう言ってのけた。
「だってこいつら、妖怪だし。」
「は?」
フェリシアーノがぽかんとして聞き返す。
「だから、こいつらは俺と同じだっつってんだよ!カッツオ!!」
一回で理解しやがれ!!ロヴィーノが怒鳴りつけた。
「ひっ!!ごめんよう…兄ちゃん。でも、二人共何の妖怪なの?」
「え?私ですか?私は、羽衣狐です。」
「俺は、青田坊で、兄が黒田坊だ。」
二人共ロヴィーノの方をジロジロ見ながら答えた。
「で、ロヴィーノさんは?」
菊がずいっと身を乗り出しながらロヴィーノに迫る。
「ちぎっ?!お、俺か?俺は毛倡妓だ。」
ロヴィーノは、引き気味に答えた。すると、ルートヴィヒは、意外そうな顔をして、
「これが、毛倡妓か。俺は全身毛むくじゃらのだと思っていたが、髪の毛が長いだけなんだな。」
と呟き、それにあまり強くなさそうだ。とも呟くと、
「うん。みんなそう言うよ。でも、兄ちゃん怒らせちゃダメだよ?兄ちゃん、起こるとその人を髪の毛で絞殺しちゃうんだ。兄ちゃんの殺しから逃れられたものは、未だ1人もいないらしいね。」
怖いよねえ…と話すフェリシアーノも、若干怖い。
「…それならば、アントーニョさんとも気が合うのでは?」
菊が、どこかに移動しませんか?と提案をしたあとで、呟いた。
「誰?その人。」
「アントーニョは、蛇だ。正確には、ナーガだが。」
「ナーガ?」
近くにあった部屋に入りながらフェリシアーノが聞く。ロヴィーノも、座布団を出しながら怪訝そうな顔をする。
「ナーガというのは蛇使いのことですよ。」
「腕が蛇になり、相手を絞め殺したり、丸飲みにしたりする。」
二人が説明をすると、兄弟は、ひい!と縮み上がった。それを見た聞くが、少し笑いながら、また視線をロヴィーノに向けた。それに気づいたロヴィーノが逃げようとすると、どこからか伸びてきた黒い尻尾に掴まれてしまった。
「ヴォア!!は、離しやがれこの野郎!」
菊を睨みつけながらロヴィーノが喚くと、黒い9本の尻尾と黒い耳が生えた菊はニッコリと笑い、
「おや、これぐらいでは本気を出しては下さらないのですね…」
と、残念そうにつぶやき、新しい尻尾をロヴィーノに突き刺そうとした。が、それはロヴィーノに辿り着く前に阻まれてしまった。
「おい、調子に乗るんじゃねえ…くたばれヴァッファンクーロ。」
ロヴィーノの目がいつの間にか鮮やかな金色になっていた。それと同時に髪の毛が、しゅるしゅると伸び始める。そして、いくつかの束に分かれて、刃物のようになった。
「に、兄ちゃんやめなよ!!いくら妖怪だからって、それをくらっちゃやばいんじゃ…」
慌てて止めようとするが、菊も戦闘態勢になったので仕方なく奥の座敷に誘導する。
「うっ…何だ、この匂いは」
ルートヴィヒが顔をしかめた。
「あ、そんなに臭いかな?ちゃんと掃除したはずなんだけどな…」
フェリシアーノは、ルートヴィヒに、ちょっと待ってて、というと部屋の中を覗いた。
「…兄ちゃん?これ、どういうこと?」
ポコポコと怒った顔をしながら兄を振り向くと、
「さっさと行かせろ。説明は後だ。」
と言われた。
「はいはい。あんまり汚さないでね!」
フェリシアーノは兄に最後の注意をしてからドアを開けた。扉の中は、さながら血の池地獄のようだった。と入っても何やら黒いもの(血ではない)がベッタリと壁についていた。
「ものすごい妖気ですね…」
菊も顔をしかめながら、そっと妖刀、牡丹に手をかけた。
「そうか?別にこれぐらい普通だろ?」
「…。やはり、踏んでいる場数が違うと、こういう差が出るんですね。いったい何年此の街にに住み着いているのですか?」
「…さあな。1世紀を12回ぐらいか?江戸なんて始まるずっと前から生きてるよ。」
「へえ。そうですか…。今が1700年ですから、大昔ですね。私は、1世紀を5回か6回です。」
「以外に爺だな。」
「貴方こそ。」
お遊びは終わりです。なんて不穏な言葉を吐きながら二人共構えた。小さな小窓からは、フェリシアーノとルートヴィヒが見ている。
「っ?!「乱舞、25節。神斬の舞。」
菊が飛び出そうとした瞬間、ロヴィーノの髪の毛が、菊の尻尾を切り裂いた。それは、毛倡妓とは思えない圧倒的な強さだった。本来ならば、狐のほうが、強いはずにもかかわらず、毛倡妓にあっさり片付けられそうになったのは、圧倒的な生きてきた年数と場数だった。
「かはっ…。」
口から妖気を吐いて、菊が倒れかけた。が、生き残っていた1本の尻尾が、それの邪魔をした。よろめいている菊を締め上げるロヴィーノ。しかし、その目にはもう殺気はなく、ある一点へと注がれていた
「誰だお前…」
                       続く。
作品名:こちら、妖怪イタリア屋! 作家名:RAJ