りんはるちゃんでクリスマス話
そこのところは
体育の授業のまえに着替えているときに、遙のクラスの女子生徒たちはクリスマスの話題で盛りあがっていた。
遙はそれには加わらずに黙々と着替える。
しかし。
「七瀬さんはクリスマスは彼氏と一緒に過ごすの?」
急に話を振られた。
遙は声のほうを向く。
そこにはクラスメイトの明るい笑顔があった。
「このあいだ七瀬さんがデートしてるの見たよ」
「私も見たー。めっちゃイケメンだったよねー」
「うん、カッコ良かった」
「顔は美形でー、でも、身体はたくましくて、ワイルド系って感じで、すっごくカッコ良かった!」
遙とデート中の凛を見たらしいふたりの女子生徒たちが顔を輝かせてテンション高く口々に言った。
それに対して。
「凛は」
遙は言う。
「格好いいんじゃない、可愛いんだ」
きっぱりと告げた。
その遙の右手は拳に握られている。
そこのところはどうしても主張しておきたいといった様子だ。
「へ、へえ、そうなんだ……」
「可愛い、のかな……?」
反応はイマイチだ。
けれども、遙はそれを気にせず、主張したことで満足したらしく、着替えにもどった。
そのあと、遙のいないところで。
「そういえば、七瀬さんって岩鳶ちゃんも可愛いって言ってたよね?」
「ってことは……。いやっ、アレ(七瀬さんの彼氏)とソレ(岩鳶ちゃん)をイコールにはできないよ!?」
「でも、七瀬さんの大雑把な可愛いの範疇にはアレとソレが同居してるんだよ」
「あんなにイケメンなのに可哀想……」
作品名:りんはるちゃんでクリスマス話 作家名:hujio