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ハンカチの高鳴り【青い花】

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姉の事、否定はしないけど、正直言うと理解も出来なかった。
でも、姉が抱いた感情に対して特に何を言うつもりはない。
ただ、何も女の人を好きにならなくてもと思う。

勿論、女の子を嫌いな訳じゃない。
じゃなかったら、お嬢様に憧れていたとはいえ、わざわざ女子校には来ない。
上品な言葉遣い、気品ある立ち振る舞い、放課後中庭での語らい。
嫌いじゃない。

でも、恋愛感情に発展するかというと、首を傾げる。


そんなある日、街で卒業生の姿を見かけた。
卒業しても地元住まいの者が多い為、見かける事は珍しくない。
でも、親交のあった人だし、特別。

その人は、同じ高校じゃなかったけれど。
演劇部で交流があったせいで、お陰で私も親しくなれた。
少し、慣れ慣れしかったかもしれない。
でも、あの頃は何も考えずに振る舞ってしまっていた。
失礼に当たったかもしれない。

でも
でも
少しでも近付きたくて
何か話がしたくて

背が高くて
黒髪が綺麗で
眼鏡が良く似合い
知的な雰囲気が素敵で
格好良いと思った


「っ……」

声をかけようと思って、口を開けた。
でも、そこ声は口から出る事はなかった。

見覚えのある小柄な女性が、駆け寄って来たから。

待ち合わせをしていたのだろう。
その後、笑顔を交わし、互いの服や髪型を褒め合う二人。
そして、気恥ずかしそうにしながらも手を繋ぎ、歩いて行った。

「……」

ただ、友達と会って遊びに行くという感じじゃなかった。
デートだ。
そう思った。

別に、女の子同士で付き合う事を、否定はしない。
身近にそういう例がいるし、驚きはしない。

でも……


「……?」


そこで、ハンカチが差し出された事に気付いた。
見るといつの間にかクラスメイトがおり、眉を下げ、心配そうに瞳を震わせていた。

「どうぞ、使って?」
「え?」

そこで私は、初めて自分が泣いている事に気付いた。

何でか……は、解る。

否定はしないけど、理解も出来るけど、何も同性に走らなくてもと思っていた。
友情を愛情と勘違いしているだけなのでは。
そう思っていた。

けど。
まさかと思う、けど。

「……」

自分もいつの間にかそうなってた。
その事に少々戸惑いはある物の、案外すんなりと受け入れられた。
気付いた瞬間失恋何て、笑えないけれど。

「ありがとう」

そう言い、差し出されたハンカチを受け取り、目を覆う。
街中で涙流しながら立ち尽くしていた何て、恥ずかしい。
そう思いながらチラリと隣を伺うと、彼女は遠くを見ており、こちらを見てはいなかった。

「今日、この後、時間ある?」
「え?あ、うん」
「じゃあ、お茶でもしに行かない?この先に、美味しいケーキのお店があるの」

彼女は、私が泣いていた事など気にもしていない様な口調で、そんな提案を投げかけて来た。
私だったら、どうしたんだろう、何があったんだろうと詮索したくなるのに。
勿論、彼女もそう思っているに違いない。
でも、私は学校でそんなキャラじゃない。
何かに悩み、泣く様なキャラじゃない。
それを考慮して、敢えて何も聞かずにいてくれたのだろう。

「うん、行こう」

もう、私の涙は乾いていた。


そして、借りたハンカチをキュッと握った瞬間

私の胸の奥も、キュンと高鳴ったのを感じた。




   end.