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銀魂 −アインクラッド篇−

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『ソードアート・オンライン』
・第五十五層 主街区グランザム市 ギルド血盟騎士団 本部

キリトはどういう訳か、血盟騎士団団長であるヒースクリフに名指しで呼ばれた為、3人は血盟騎士団の本部がある街へ訪れ、本部内の団長がいる部屋に向かって歩いていた。キリトはヒースクリフの思惑が一瞬理解できなかったが、立ち会う・・・とはつまりデュエルをするということだとほぼ確信した。しかし、それがアスナの活動休止とどのような関係があるのかは謎のままだった。移動をしながらアスナから事情を聞くと、昨日、アスナはギルドでの活動の休止を届け、本日朝で開かれるギルド例会で承認されると思っていたのだが、ヒースクリフがアスナの一時脱退を認めるには条件があると通達されたらしい。それが『立ち会い』という事なのだが・・・やはり理解ができない。
アスナは幾度も説得をしたそうだがやはり聞き入れてくれなかったという。

「嬢ちゃんも大変だな。その年齢でここまで苦労するこたぁねぇんだけど」
「本当よ・・・そもそも、団長は普段ギルドの活動どころか、フロア攻略の作戦とかも私達に一任して全然命令とかしないの。でも、何でか今回に限って・・・」
「ともかく、さっきも話をしたけど、直接俺が談判してみるよ」
「ん・・・ごめんね。君にはいつも迷惑ばっかりかけちゃっているね・・・」
「なんでもするさ。アスナは大事な・・・っ」
「・・・え?」
「お」
キリトは思わず口を滑らしたと言わんばかりに右手を口に沿え、沈黙したキリトをアスナと銀時がじっと見つめる。
「・・・俺たち3人パーティ、万事屋の司令官でありリーダーだからな」
アスナは少しだけ不満そうに唇を尖らせたが、久しぶりにほのかな笑顔を見せた。銀時もこの時ばかりは少しだけ口を緩めていた。

いくつもの扉の前を通り過ぎ、どこまで登るのか心配になってきた頃、ようやくアスナは足を止めた。目の前には無表情な鋼鉄の扉がある。
「ここか?」
「うん・・・あ、ちょっとまって」
「どうした?嬢ちゃん」
アスナは両手を動かし、キリトの右手、銀時の左手の指先を軽く握り深く深呼吸、十秒程経過した後に「よし、充電完了!」と意を決したように手を離し、扉を音高くノック。答えを待たずに開け放った。
部屋の中は塔の一フロアを丸ごと使った円形の部屋で、壁は全面透明のガラス張りだった。中央には半円形の巨大な机が置かれ、その向こうに並んだ五脚の椅子に、それぞれ男が腰かけていた。左右の4人には見覚えが無かったが、やや左後方にぽつんと立つ人物と中央に座る人物だけは見間違えようがなかった。前者はアスナのおっかけもとい半ストーカー疑惑のあるクラディール、後者は血盟騎士団団長 聖騎士ヒースクリフだ。
アスナはブーツを鳴らして机の前まで行くと、軽く一礼。左後方のクラディールは恨めしそうにキリトと銀時を睨み続けていた。
「ご挨拶に来ました」
その言葉にヒースクリフはかすかに苦笑いし、
「そう結論を急がなくてもいいだろう。彼と話させてくれないか」
そういってキリトを見据えた。銀時はいまだに重要人物が目の前にいるという実感がなかったので、小声でキリトに問いかける。
「なあおい・・・あれがお偉いさんか?」
「そうだよ。この血盟騎士団の団長、ヒースクリフだ」
「あれが団長なのかよ?なんだか威圧感のねぇおっさんだなぁ」
「おいっ、間違っても目の前でそんなこというなよ?」
「貴様ら、なにをこそこそと話しているのだ。団長の前で失礼であられるぞ?」
こそこそ話が気になったのか、後方のクラディールがやや怒り気味に2人に注意をするも、銀時は軽く右手を挙げ「すんまっせ〜ん」と反省の欠片もない謝罪をするものなので、クラディールの怒りが更に高まった。
「おいおい、なんであいつがここにいるんだよ。ここって監獄か何かだったっけ?」
「あんなやつでも一応血盟騎士団だからさ。ここにいて当たり前だろ?」
「おいやべーよあいつ。いくらケツノ騎士団だからって、ストーカーとか当たり前にしておいて、なんであんな偉そうなポジションにいるんだよ。何様だよ」
「血盟騎士団だから。ケツノ騎士団だったら、まるで団員が尻丸出しみたいなギルドになるから。あいつ多分自分が偉いと勘違いしているんだよ、きっと。そんなやつだからアスナも苦労しているんだよ」
「あいつの家の寝室、ぜってー嬢ちゃんの写真で埋め尽くされてるよ。想像するだけで気持ち悪ぃ。あ〜なんか鳥肌立ってきた」
「ギンさん。あいつからは何が何でもアスナを守ろう。絶対変態だよ。現実―リアル―でも女子高生とか追っかけてそうだし」
「キリト。あいつの現実―リアル―っていうのが、今のこの状況なんだろうな。なんか銀さん、一巡してあいつが可哀想になってきた」
「貴様らァァァァァッ!!こそこそ話がこそこそしてないからァァァァァッ!!さっきからもろ聞こえなんですけどォォォ!!?・・・あ・・・アスナ様!私は断じてそのような破廉恥なことはしてございません!!無論、現実―リアル―でもそのようないかがわしい行為は一切―――」
「クラディール、落ち着いて。私は今、団長と話をしているの・・・あと、今後、半径30m以内には絶対に近寄らないで。副団長として命令します」
「アスナ様ッ!!?」
「・・・もう良いかい?彼と話をさせて頂こう」

ヒースクリフはクラディールの話をもろともせず、キリトをアスナの隣まで来るように呼んだ。銀時のおかげで少しはリラックスできたのか、キリトとアスナ、二人の肩の力がやや抜けたように見えた。
「君とはボス攻略戦以外の場であるのは初めてだったかな?キリト君」
「いえ、前に六十七層の対策会議で、少し話しました」
ヒースクリフは軽く頷き、机の上で両手を組み合わせた。
「あれは辛い戦いだったな。我々も危うく死者を出すところだった。トップギルドなどと言われても戦力は常にギリギリだよ。・・・なのに君は、我がギルドの貴重な主力プレイヤーを引き抜こうとしているわけだ」
「貴重なら護衛の人選に気ぃ遣ったほうが良いんじゃねぇの?」
キリトとアスナの後方から銀時は右手小指で鼻をほじりながらぶっきらぼうに言うものなので、机の右端に座っていたいかつい男が血相を変えて立ち上がろうとした。が、ヒースクリフはそれを軽く手で制す。
「クラディール」
「ッ!な、なんでしょう・・・ヒースクリフ様」
「私の言いたい事は、十分に、解っているね?」
「もももも、もちろん承知しておりますッ!!」
「ふぅ・・・クラディールが迷惑をかけてしまったことは謝罪しよう。だが、我々としてもサブリーダーを引き抜かれて、はいそうですかという訳にはいかない。キリト君―――」
ヒースクリフは再度、キリトを見据えた。金属の光沢をもつ両眼から、強烈な意思力が吹き上げてくる。
「欲しければ、剣で―――。『二刀流』で奪いたまえ。私と戦い、勝てばアスナ君を連れていくがいい。だが、負けたら君が血盟騎士団に入るのだ」

キリトはこの謎めいた男が少しだけ理解できた。
結局この男も、戦いに魅入られた人間なのだ。
自分の技に絶対の自信を持っている。

―――俺と、似ている。

だから・・・俺の答えは一つ。