ある日の切り取り
何でも、開けられないといわれたものを開けたときの達成感が半端ないと以前きいたときかな、話してくれた。
(金庫破りのようだよな)
毎回思うが、それを一度も黒羽に伝えたことは、ない。
あまりしゃべらないけれども、鍵をさわっているとき、うれしい・たのしい・いらいらといった感情はなんとなくわかる。表情もかわらないけれども、雰囲気にあらわれている。
新一は、黒羽が鍵をこうしてさわっている姿をみるのがすきだ。
一番すきなのは、
(そろそろかも…)
道筋が見えたときに、髪の毛とメガネで隠されたその目が輝くときだ。ほんの一瞬だけれども、普段隠された黒羽の本質があらわれているようなきがする。
いつかあれを暴きたい。
自分にむいてほしいと、おもうのを、押さえ込むように、コーヒーを飲み干した。