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久しく待ちにし

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小さな頃は大人の言うことを聞く良い子だった。 大人になってみれば上官に楯突く不良軍人になっていた。そんなこんなで辺鄙な拠点に飛ばされるるはめに。僻地飛ばしは退役になった方がマシ……と聞いているが、実際どうなんだろうなあ?
鎮守府から迎えが来ると聞いていたが見渡す限りひとっこひとり居ない風景に少し不安になる。暫くすると10歳くらいのセーラー服を着た女の子がこちらに走ってくるのが見えた「遅くなってスミマセン! 本日着任の楠木司令ですね?」司令?僕が?
「あ、あの……?自分は確かに楠木だけど、司令ってのは……?」息を切らしながら走ってきた女の子はキョトンとした表情で僕を見上げる。「楠木二三雄。愛知県名古屋市出身。海軍兵学校舞鶴分校卒業後、舞鶴鎮守府……」経歴を淡々と述べるその子を見ながら僕は、困惑を隠せないのであった。
小さな女の子に手を引かれるまま走って行くと、前方に物々しい建物が見えてきた。多分艦隊指令本部なのだろう。高い塀とその上の鉄条網が軍の施設だと主張している。件の高い塀をぐるりと半周すると今度は重厚な門が見えてきて、その前で女の子はピタリと立ち止まった。もちろん僕もだ。
女の子は門を見上げ叫ぶ「駆逐艦 漣、ただいま戻りました!楠木司令をお連れしました!」駆逐艦……?漣って?一生解決できない難題に挑むような気分になりながら、目の前の重厚で大きな門が開くの眺めていた。奥から軍服…と言うには挑発的な服装の女性が出迎えてくれた。
作品名:久しく待ちにし 作家名:tesla_quet