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バトル

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強い野生のポケモンと戦えるし、人があまり訪れないから珍しいポケモンがいるかもしれない。
コトネはメガニウムを連れてシロガネ山へ向かっていた。
山のふもとにあるポケモンセンターに入ると、ひどくがらんとしている。
それもそのはず、トレーナーは一人もいない。いるのは職員の人ぐらいだ。
山に入る前に手持ちの子達を回復させようと、モンスターボールを腰のベルトから取り外し、
メガニウムをボールに戻して受付の女性に渡す。
「あの、ここのポケセンはいつもこんなに人がいないんですか?」
あまりの静かさに思わずコトネは女性に話しかけた。
「そうですね。ここは強いトレーナーしか入れない場所ですから、あまり人は来ないんですよ」
女性はにこやかに答えてくれる。ボールを回復させる機械にセットし、スイッチを入れた。
すると女性はふと何かを思い出したようにこちらを見た。
「そういえば、あなたはポケモンリーグの新チャンピオンになった子よね?」
コトネが驚いていると、
「いきなりそんなことを言ったら驚くわよね。ごめんなさい。でもここはチャンピオンロードにも近いから、そういう情報はよく入ってくるのよ」
申し訳なさそうな顔をする女性にコトネは慌てて、気にしないでほしいと言った。
「お詫びといってはなんですけど、シロガネ山の強いトレーナーの噂を教えましょうか?」
”強いトレーナー”その言葉を聞いたコトネは胸が高鳴ってきた。
ポケモントレーナーにとって強い相手を戦えるのはうれしいこと。
詳しい話を聞こうと女性に話しかけた。
「あの、そのお話、詳しく教えてください」
「私もそこまで詳しいわけではないの。シロガネ山の山頂には、とても強いトレーナーがいる。この山に登れるということは、もちろん皆、それなりの実力を持ったトレーナーのはずなのに、誰も勝てた人はいないそうよ」


コトネはシロガネ山に登っている。
寒さに弱いメガニウムにはかわいそうだが、ロッククライムがないとこの山には登れない。
「寒いの苦手なのに、ごめんね」
メガニウムの体が少しでも温かくなるよう、準備はしてきたが予想以上に寒い。
コトネが申し訳なさそうな顔をして、メガニウムの頭を撫でていると、気にするなとでもいうように、一声鳴いた。
さっきの強いトレーナーの話を聞いて、張り切っているのはメガニウムも同じらしい。とても気合が入っている。
噂話をさらに調べたら、そのトレーナーはまだ少年で、赤い帽子と赤い上着を身につけていて、とんでもなく強いピカチュウを連れているらしい・・。


洞窟の中をぐるぐる回りながら野生ポケモンと戦う。
話には聞いていたが、レベルが高い。途中で一旦、洞窟の外に出るとずいぶんと高いところまで登ってきたようだ。
地上があんなに遠くに見える。
再び洞窟の中に入り、ひたすらに登っていく。
そして、ようやく頂上に着いた。真っ白な景色の中歩いていくと、目の前に一人のトレーナーが立っていた。
噂の通り、赤い帽子をかぶり赤い上着を着た少年が立っている。
少年といってもコトネよりは年上だろう。肩にはピカチュウを乗せている。
彼は半袖で寒くないのだろうか?
コトネが来たことに気づいてないのか、少年は背をこちらに向けたままだ。
一歩一歩、近づいていくと少年より先に、ピカチュウが気づいたのか、ピカチュと鳴いた。やがて少年はこちらを振り向く。
トレーナー同士、目を合わせたら、バトルから逃げられない。
ピリピリとした空気が漂ってくる。コトネは少年の放つ威圧感に負けないよう、前を見据えて言った。
「わたしとポケモンバトルしてください」
「・・・・・・・」
少年は無言で頷く。ピカチュウが少年の肩から降りてきた。
「メガニウム、お願い!」
後ろにいたメガニウムが前に進み出る。
「・・ピカチュウ、アイアンテール」
そんなに大きい声を出している訳でもないのに、彼の声は通って聞こえた。
「メガニウム、マジカルリーフ」
負けじと技を繰り出す。しかし、ピカチュウの方が素早さが高く、先にアイアンテールを決めた。
そして、メガニウムの放ったマジカルリーフを避ける。
相性はこちらの方が有利なのに、それをものともせずピカチュウは攻撃を仕掛けていく。
やがて、メガニウムの体がぐらりと雪の上に倒れた。
コトネはボールにメガニウムを戻す。
「お疲れ様。ありがとう、メガニウム」
次のボールを腰のベルトから取り、投げた。
「頑張って、デンリュウ」
デンリュウが飛び出した。
素早さは確実に負けているが、同じ電気タイプなので、電気技は効果はいまひとつになるはず。
パワージェムという岩タイプの技が、ピカチュウにどこまで効くかやってみるしかない。


しかし、デンリュウも力尽き倒れてしまった。
「ありがとう、デンリュウ」
デンリュウをボールに戻す。ピカチュウは余裕たっぷりだ。
次のポケモンをボールから出す。
「よろしくね、ガーディー」
あと、手持ちで残っているのは、このガーディーとブラッキー、ニョロゾ、ピジョット。
当然だが、ニョロゾとピジョットは相性が悪いから出せない。
ガーディーとブラッキーだとガーディーの方がレベルが高い。
少しでも相手にダメージを与えてほしかった。
「・・・・ボルテッカー」
ピカチュウがピッカーと鳴いて、光を発しながらこちらへ向かってくる。
バチン。ガーディーはまともにくらってしまった。
いくらレベルが高いとはいえ、このピカチュウは強すぎる。
コトネの心を察したのか、ガーディーは大丈夫だというように力強く鳴いた。
ガーディーに励まされ、まだ勝負が決まった訳ではないと、下を向きそうになっていた自分を叱った。
「いくよ、ガーディー。かえんほうしゃ」
ゴオオオオオーと勢い良く炎が相手に向かっている。
「・・・そこだ、アイアンテール」
少年の声が聞こえたと同時にピカチュウはジャンプし、かえんほうしゃをよけ、アイアンテールをたたきつけた。
次の瞬間、ガーディーは倒れた。きゅうしょにあたったのだ。
「頑張ったね、ガーディー」
ボールにガーディーを戻し、次のボールを投げる。
「ブラッキー、出番よ」





勝負は決まった。ピカチュウに手持ちのポケモンを全部倒されてしまった。
バトルが終わると、ピカチュウは少年の元に駆け寄り、肩に上って甘えるように、頬をこすりつけた。
少年もピカチュウの頭を優しく撫でる。ピカチュウはチャーとうれしそうに鳴いた。

コトネはもっと強くなりたいと思った。この人に勝てるぐらいに。
ピカチュウと戯れている彼にコトネは意を決して話しかけた。
「あの、今日はありがとうございました。わたし、もっと修業して強くなってくるので、またバトルしてくれますか?」
「・・・・・待ってる」
彼の言葉にコトネはうれしくなった。
作品名:バトル 作家名:鳴海ゆま