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桜夜桜紅桜

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「高杉ィ」

昔馴染みの天パ男が言い出した時は
大体がロクな事じゃねぇ

「オーイ?無視ですかァコラ。人に呼ばれたら
ちゃんと返事しなさいって先生に言われたろォ?」
「いっつもそう言われてた奴が偉そうに言ってやがる。」
「あれはァ、ホラ、」
「ククク。てめぇ、単に先生に何度も名前
呼ばれたかっただけだろうが?」
「…高杉ってさァ…時々マジでムカつくわテメェ。」
「クククク…図星だろ銀時。」
「テメーは昔っからそーだよ。ったくよォ。
全然周囲気にしてねェ顔して、しれっとしやがってよォ?」
「てめぇは特に解りやすい。馬鹿だからな。
気づかねぇのはヅラくれぇなもんだ。」
「何ソレ。辰馬は買ってンのオマエ?」
「あいつのは単なる直感だ。洞察力うんぬんじゃねぇよ。」
「…フーン。そんなもんかねェ?」
「てめぇもそうだろうが、銀時。」
「アァん?」
「獣の勘だけで動いてやがる。」
「あっらそんなこたねェよォ?ちゃあんと見えるトコは
見えてンだからァ。つか高杉オマエ、脚開き過ぎ。
襦袢の立て膝も色っぺェしオレは大歓迎だけど
他のヤツに見せンのソレ許さねェから。事務所的にNGだからァ!」
「てめぇもだろうが銀時。」
「オレはいーの。銀さん、どっちかってェとワイルドがウリだからァ。」
「ククク…。死んだ魚の目したワイルドかよ。」
「普段は死んだ魚の目しててェ、イザって時に
カッコイくなンのがいーンじゃん。何あれ、ギャップ萌えってヤツぅ?」
「は。馬鹿は幸せだな。」
「ソ、オレって幸せェ。」
「そりゃ結構なこった。」



クククと笑ってあおる杯

久々に桜の下でヤんねェかと
オマエとの最初は桜の下だったの覚えてるゥ?
またあン時みてェにヤってみねェ?と酔狂な誘いがあったのは
昨日

いい歳こいて青カンかよ、と鼻で笑った俺

だからじゃん、もうこの歳だしあんまそーゆーの、
もうしねェじゃん、だからしたいんじゃん、たまーに
と熱弁ふるう奴が鬱陶しくて
したけりゃてめぇ1人で勝手にかいとけ、と
言ってやったのに
いつの間にかこんな事になってやがる

まぁ花見ついでに一発やったってだけの事だが青カンには違いねぇ

「てめぇ、よくこんな場所見つけやがったな。」

と見回す周囲には花見時分だってのに人っ子一人居やしねぇ
まぁ
建て壊し寸前の
工事の囲いに覆われた廃屋の庭
そんな場所
誰も寄って来やしねぇだろう普通

俺は呼ばれてここへ来て
銀時が持ち込みやがった酒くんで
成り行き任せで一通りのコト終えて
お互い
着物もはだけたまんま
一升瓶から酒を注ぎ注ぎ
もうすぐ切り倒されちまうんだろう桜の老大木の下
男二人きりの酔狂な花見と洒落込んでる

「アハハン、見直してくれたァ?」
「調子乗ってんじゃねぇ。馬鹿が。」
「馬鹿って言う人がバカなんですゥ。」
「…殺されてぇらしいな銀時?」
「ンー。今ならいいよォ?」


杯に口をつけながら至極のんびり
夜桜見上げてやがる馬鹿が言いやがる


「だってさ。ホラ見てみろって高杉ィ、」

キレーな夜桜じゃん
ほんのり紅引いたみてェでさァ

なんつか

「終わった後のオメーみてェでさァ。こう、しなっ、と色っぽくてェェ。」
「…斬る気も失せるな、てめぇの馬鹿さ加減には。」
「なんでェ、キレーなモンじゃん。」


ホラ見てみ、と視線で促され
見上げた頭上


月明かりの下
薄い紅色の天井のような枝ぶりが
みっしり空を覆ってやがる


「…取って食われそうだ。」
「だろォ?オレは取って食われてェ。」
「馬鹿なてめぇらしいぜ。」
「だってオメーと似てんじゃん?」

ほら
と急に
はだけた襦袢の裾割って入って来た手が太ももの内側
サワリと撫でる

「なんかこうしっとり湿っててピンク色で」

本気で顔の真横に刀突き立ててやると
カッ、と片手の木刀で避けた馬鹿が
何事もなかったように悠然と杯を足す



「…死にかけなんだとよ。」
「あぁ?」
「昔、先生に教わった。」

俺は注げと銀時に杯を突き出す



「桜ってのは」

咲き初めの

「これからが盛りって時には、花の色が白くて。
散り際に近づく程に紅の色が濃くなって。一番
花びらの色が濃くなんのは散っちまって落ちたヤツなんだとよ。」
「…フーン。」
「さしずめてめぇは、まだ生っ白い
咲き初めの桜だな。白夜叉さんよ?」
「…ケッ。」
素裸に白い着物引っ掛けた姿は

ふと

あん時の面影思い出す

コイツも俺も
護るもんが同じだと思ってたあの頃

『いー加減抱かせて高杉ィ』

花見に誘われた山ん中
初めてのあんな声自分で出して
だが
その驚きよりもそんな風に食らい尽くすように求められる事が
もっと驚きで腹立たしく
けど最後には
コイツなんで俺なんぞこんな必死に抱いてんだとやるせなくなって

もうどうでもよくなって身を投げ出して

あん時も確か
山桜の花が満開で少し風が吹くとちらちらちらちら
小五月蝿く音も無く
小さな花びらが降ってきやがった



「オレが咲き初めで?テメェは散り際の紅桜ってかァ?」
「ククク…馬鹿にしちゃ察しがいいじゃねぇか。」
「バカ言ってンのはソッチだろォ高杉よォ」



同じだろ
オレら
同じだけ時間が過ぎてんだ

「昔先生に習った言葉も同じ」

生きてきた場所が途中から違っただけで

「ナンも違いゃしねぇよ。今でもな。」



テメーが紅桜なら
オレもだ
同じだけトシ食って生きてる
散り際が近づいてくんのも
同じタイミングに決まってんじゃねぇか

銀時が落ちてきた桜の花びら
杯で受けて浮かべる




「折角一緒に生きてんだ。イく時ゃ一緒だろ高杉よォ?」




つぅか
いつもオレよかまず先にオマエ
イくけどね
オレあん時ぎゅうぎゅう締め付けられて
オマエ一回目イった時には
一緒にイけないのよね二回目以降からしかさァ
ホント
勘弁してあの生殺し状態

言う
馬鹿を




斬り殺そうと
振るった刀が桜を散らす




ちらちら
ちらちら



紅桜




一通り
暴れて





やがて
俺の刀取り上げて襦袢取り上げて羽織った白夜叉が




舞い散る花びらの中で



オレの勝ち

ニッとすんのがムカついて
フィと横向くと



ひん剥かれた肌を隠すように
桜の花びらが落ちてきて



幾つも
俺の肌を淡く赤く染めた











作品名:桜夜桜紅桜 作家名:cotton