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紅と桜 プロローグ版

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紅と桜 プロローグ版
              雨泉 洋悠

 足元を埋め尽くす、桜色の花びら。暖かな陽射し、優しい風、この学校の春は、思っていたよりもずっと綺麗。
 それなりに段数のある階段。登り切って、数歩足を進めて、足元を埋め尽くすのみならず、私の周りを、自らの生き様と残り香を残して、花のかけらが舞い踊る。
 少しだけ、自分の選択の確かさを褒めて上げたいと思う。
 こんな日に、入学式を迎えられるなんて、私の高校生活のスタートは、それなりに幸福だと思った。
 この場所に決めた時、高校はもう大学のための勉強の場と割り切っていたけれど、何かあれば良いなと、心の隅っこの方に仕舞っていた、淡い期待が浮かぶ。
 瞳を閉じて、少しだけ深呼吸してみる。
 桜色の香りが胸一杯に広がって、私の気持ちを、少しだけ高いところに押し上げる。
 桜色の香りに包まれる幸福。暖かくて、柔らかな香り。
 そんな瞬間に、背中の方から、静かに吹き付け始める、春の二番風。
 私が瞳を開いた瞬間に、二番風は沢山の花のかけらを従えて、一息に私の周りを吹き抜けた。
 私は思わず、強すぎる風の大元に引きつけられるように、階段の方を振り返った。
 そこにいたのは、

桜色の妖精、高潔なうさぎ。
 低くて、柔らかい目線、小さな、可愛らしい手足、カワイイ、あんな可愛い子なら、きっと私なんかと違って、いつも友達に囲まれて、暖かい場所に居るんだろうな、暖かいんだろうな。
 私の曲で、あんな子が歌ってくれたら、きっと、一番の特等席で、ずっと聴き続けているのにな。

 私の右横を、小さな歩みで、花のかけらを舞い上がらせながら、歩いて行く。
 私に唯一つ、桜色の香りだけを残して。

 次回

桜色を燃やし尽くす、情熱の赤い炎、高貴な猫
 高くて、強い目線、長い、細い手足、綺麗、ああいう素敵な子が、きっとにこなんかと違って、本物のアイドルになっていくんだろうな、素敵な声で、歌うんだろうな、甘いんだろうな。
 にこと一緒に、あんな子がアイドルやってくれたら、きっと、一番の特等席で、ずっと眺めているのにな。
作品名:紅と桜 プロローグ版 作家名:雨泉洋悠