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紅と桜~にこまきりんぱな~

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「ま、真姫ちゃん!怖い先輩に怒られるなら一緒に怒られてあげるから!」
 聞こえてくる、もう大分聞き慣れた二人の声。
「凛!花陽!」
 あ、真姫ちゃんが何かあたふたしながら、全力で私から離れて二人を迎えた。
 もう、本当に何なのよ。そんな耳まで真っ赤なまま体裁を取り繕う姿を私に見せてどうしたいのよ本当に。
「あ、真姫ちゃん!昼休み前の移動教室の後に、ちょっと部室に寄り道してから戻ったらたらクラスのみんなに真姫ちゃんが、こわーい上級生に屋上に呼び出されたって聞いたにゃー、果たし状にゃー決闘にゃー」
 凛ちゃんがいつもの調子で捲し立ててる。
「そ、そうなの、私達心配で。て、あれ練習着?それににこ先輩?」
 うん、そう、そうなのよ。
「ああ、それはあれよ。にこ先輩のおふざけで、別に怖い目になんてあってないから大丈夫よ」
 色を戻した真姫ちゃんの、何の打算も含まれていない、友達への笑顔。
 ああ、私は今こう言うのを。
「なんだーにこ先輩だったのかにゃーそれだったら全然怖くないにゃー」
 見れる場所に居るんだなあ、だから私はこう返すの。
「どういう意味よ!」
 私は、この三人と一緒に、自然に居られる場所に、今居るんだなあ。
「そのまんまの意味よ、にこ先輩。凛、花陽練習着持って来なさいよ。残り二十分ぐらいだけど、にこ先輩と特訓よ」
 ねえ、真姫ちゃん、私達やっと。
「解ったにゃー」
「うん、取ってくるね!」
 私達の大切な二人と、同じ場所にいま立てたね。

 視界に揺らめく、初夏の空。落ちてくる、花びら、またひとひら。

 次回

 先輩?