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紅と桜~高貴な姫君~

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「にこ先輩、今の流れ、明らかにそうじゃないわよね?受け取りますから、出して下さい」
 あれ、なにこれ立場逆転?
「うええ?な、なんのことー」
 我ながら白々しい、何だこの私。
「にこ先輩、プレゼントは相手にちゃんと渡さないと意味ないんです。それこそ無駄になっちゃいます。日にちが経ってるとかどうでもいいんです。にこ先輩がくれることに意味があるんです。下さい!」
 な、なにこのつよきの真姫ちゃんは。あ、あれでも、ああこの子は本当に卑怯だなあ。
 何でそんなあからさまに顔も耳も真っ赤にさせて強気に詰め寄ってるのよこの子は本当に。

 ああ、本当にもう、また降り積もっていく

 こんなの観念するしか無い、こんな可愛すぎる後輩のこと、蔑ろになんて出来ない。
「……真姫ちゃん、いまさらながらの誕生日プレゼント受け取って下さい」
 恭しく、いつも持っている鞄から取り出して手渡す。想像でしか思い描いてなかった光景、今現実にここにある。
 何か、ものを見て真姫ちゃんが凄い嬉しそう。
「にこ先輩も私に香水選んでくれたなんて何か嬉しい、ありがとう!」
 ここまで素直に喜ぶ真姫ちゃんとか、何か新鮮。
「これは、何の花?」
 ああ、何か夢で見たような光景。
「赤のデルフィニウム、真姫ちゃんの誕生花よ、青の花が本来だけど真姫ちゃんのイメージはやっぱり赤よね」
 何とも、自然に顔がほころぶ。
「にこ先輩誕生花とか詳しいんだ」
 真姫ちゃんが珍しく感心した様子、たまには先輩らしいこと言います私でも。
「私からすればアイドルには必須知識よ?真姫ちゃんの場合は、加えるなら4月の誕生石はダイヤモンド、4月19日の誕生石はバイオレット・ジルコン」
 真姫ちゃんの瞳の色と同じ色。おおっと、そんな真姫ちゃんの瞳が少しキラキラしてるやっぱり真姫ちゃんでも意外とこういうの好きなんだなあ。
 そんな解説をしていると、皆の話し声と足音が聞こえてくる。
「にこ先輩、パーティーの始まりですよ」
 ああ、今私とっても幸せなの、一年前の私に教えてあげたい。
 希はまだ色々気にかけてはくれていたけれど、貴女がそこで一人で頑張ってくれたからこそ、今私はここに居られて幸せなの。

次回

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作品名:紅と桜~高貴な姫君~ 作家名:雨泉洋悠