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対岸越しあなたを待ってる(雑渡さんと伊作/落乱腐向け?)

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生まれ変わったらという言葉は、その言葉を耳にするたびに伊作をひどく不思議な気分にさせるものだった。
時折、思い出したかのように雑渡は「生まれ変わったら」とか「もしも、私が死んだら」なんていう言葉を口にした。それは忍術学園の医務室で茶菓子をつまんでいるときであったり、伊作に包帯を巻かれているときであったりとまちまちではあったが、一貫してその表情にはどこか暗いものが付き纏っていうように伊作には感じられた。
包帯に隠れていない、光を知る方の目を暗く淀ませて雑渡が漏らす。
らしからぬ弱気な色を含ませて漏らされるその言葉達はきっと伊作に向けたものではなかったのだろう。ぽつりと、まるで独り言のような。
生まれ変わったら、私はどこに生まれるのだろうね。
生まれ変わっても、同じ国に生まれるのかね。
死んだら、どうなるのかね。
それは伊作にとってはとてもとても不思議な言葉で、死んでしまえば自分のそこで全てが終わりで生まれ変わりなんてないんじゃないかと思っている伊作にとっては、その言葉を口にするその人がとてもとても不思議だった。
生まれ変わりもなんて一番信じていなさそうな人が「生まれ変わったら」と口にするたびに、脳みそを直接揺さぶられるような気分になる。ざわりとした、言い表しがたい不快感を飲み込んで伊作は唇に言葉を乗せる。やっとのことで探し出してきた言葉はとても陳腐で、意味なんてこれっぽっちもなかった。
若干の否定も含んで雑渡に言葉を返せば、自分よりもはるか年上の、ともすれば自分の倍すらも生きているであろう大人は、少しばかり唇を尖らせて、だって、と拗ねたような声を上げた。
だって、伊作くん。
考えてもみなよ。これだけたくさんの人がいて、これだけたくさんの人がいるのに、わたしという存在はこの世でわたし一人しかいないんだよ。それなら、わたしという人間が死んだなら、わたしという意識はどこへ行けばいいのだい?
それは伊作にとってはよくわからない理屈であったけれども、包帯で全身をぐるぐる巻きにされた不審者は、ひどく真面目な調子で(自分の理屈が間違っているなど微塵も思っていない様子で)両腕を組むと、うん?と首を傾げるのだった。

「貴方が死んでしまえば、貴方の仰るその意識も一緒になくなるでしょうに」
「そうだけど。でもそれはとても不思議な現象じゃないか」