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桑野みどり
桑野みどり
novelistID. 52068
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もしもエルサが中二病だったら

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「エルサ、大丈夫?具合悪いの?」
「アナ…」
物思いにふけっていたエルサは、妹の声に顔を上げた。執務室で机に向かったまま、ぼんやりしていたようだ。アナが部屋に入ってきたのにも気づかなかった。

アナは心配そうに表情を曇らせていた。
「顔色が悪いわ。少し休んだ方がいいんじゃない?」
「大丈夫よ」
エルサは気丈に微笑んでみせた。

「ねえ、何かあったの?…外交問題?国家予算?…わたしなんかじゃ頼りないかもしれないけど、話を聞くくらいなら…」
「ううん、そういうのじゃないの。ちょっと、ね…。夢見が悪くて…」
「夢?」
「笑わないでね。…昨晩、怖い夢を見たの」
エルサは重いため息をついた。

「どんな夢だったの?」
「…戴冠式のときの夢…。山に逃げ込んで、国じゅうが冬になってしまって、…どうしたらいいか分からなくて…」
「そう…。怖かったわね」
アナはエルサをそっとハグした。

「…アナ、私、不安なの。また、あんなふうに魔法が暴走したら…! 私の魔法のせいで人を傷つけることになったら…って、不安でたまらないの。もう…誰も傷つけたくない…」
エルサは泣きそうな声で打ち明けた。妹が優しく「大丈夫」と言ってくれることを期待した。

ところが、アナはエルサの期待とは全く違う反応をした。

「は?……何言ってるの?」
呆れたような、少し苛立ち混じりの声だった。

「アナ…?」
「魔法ですって?またあれが始まったのね、エルサ」

アナはエルサの両肩に手を置き、子供に言い聞かせるような調子で喋った。
「いい?姉さん。魔法なんて、存在しないの。すべてあなたの妄想よ。お願いだから現実を見てちょうだい」

「え。」
エルサは硬直した。

「エルサ、あなたは魔法の力なんて持ってない。戴冠式のときの吹雪はただの異常気象。姉さんのせいじゃないのよ」
「???…で、でも…私、子供の頃魔法であなたを傷つけて…」
「あれはわたしが勝手に転んで頭を怪我しただけ」
「でも…トロールに…」
「トロール?」
アナは、ぷっと吹き出した。
「あれはお医者様よ。確かにちょっと変わった顔の人だけど。トロールはヒドイわ」

「…私は…北の山に魔法で宮殿を作ったわ!」
「山で遭難したのは事実だけど、宮殿はフィクション。凍死しかけて幻でもみたのよ」
アナは淡々と否定した。

「戴冠式の日、姉さんはとても緊張していたし、それに暗殺されそうになったでしょ、南諸島のクソ王子に。それで、パニックを起こしたのね……いきなり馬に飛び乗って山へ駆けていったのよ。もちろん、すぐ捜索隊に発見されたけど。あのときの姉さん、本当にヤバかったわ。『私にさわらないで、凍らせてしまう』とかぶつぶつ言って、ずっと引きこもっていたのよね」

エルサは、信じられないというように首を振った。
「…そんなはずないわ。だって私、本当に魔法を…」
「だから。魔法なんて妄想だってば」
「いいえ、本当よ。ほら、…見て!」
エルサは両手を掲げた。

「…あれ?」

雪の結晶は出現しなかった。

「うそ…そんなはずは…!」
エルサはドレスの裾をひるがえし、ダン!と床を踏んだ。

何も起こらなかった。

「え…?そんな…!?…えいっ、えいっ」
何度も足で床を蹴ったが、床が凍りつくことはなかった。

愕然としながら顔を上げると、うんざりした表情の妹と目があった。
「アナ…大変!私の魔法が消えたわ!」
「もとから、ないのよ」
噛んで含めるようにアナは言った。その顔にはあわれみの色が浮かんでいた。
「かわいそうなエルサ…。繊細な心が傷ついたせいね。…でも大丈夫、わたしがついてるわ」

「うそ…うそ…!そんなはずないわぁああああ!!」
エルサは絶叫した。


◆ ◆ ◆


「…ハッ」
エルサはベッドから飛び起きた。
「ゆ…夢?…夢よね…」

さっきのはただの夢。実際は、本当に自分は魔法が使えるはず。
確かめるために、エルサは両手を掲げた。キラキラと雪の粉が舞い散る。
「妄想なんかじゃないわよね…」
まさかこれが見えているのは自分だけなのではと不安になり、エルサは寝室を飛び出した。向かった先は、妹の部屋。

「アナ!…アナ!」
「…んん、なあに…エルサ?」
アナは目をこすりながら眠そうな声で返事した。

「ねえ、これを見て」
エルサは両の手のひらの間に雪の結晶を作り出した。
「これ…見えるわよね?何か分かる?」

「へ?」
アナは当惑した様子だった。

「見えないの!?」
「ちょ…、ちょっと待ってエルサ。どうしたの?」
「やっぱり妄想? 私、おかしいの!? アナ、…どうしよう、どうしよう!」
「とりあえず落ち着いて、エルサ。ベッドを凍らせるのは、やめて。さむ…さむいわ…」
「凍らせ……ハッ!?」
エルサは周りをよく見た。
アナのベッドの毛布が凍りついていた。

「…これ、見えるのね?感じるのね!?」
「ええ。ひんやりするわ。そろそろ何とかしてくれると嬉しいんだけど。…クシュン!」
アナは震えながら言った。
「ごめんなさい!アナ!」
エルサは慌てて力を制御した。瞬く間に氷が蒸発し、ベッドは元通りになった。

「よかった…。魔法は嘘じゃなかった…」
エルサはへなへなと座り込み、深いため息をついた。

「なんだか分からないけど…怖い夢をみたのね。エルサ、ベッドに入って。一緒に寝ましょう」
アナは冷えきったエルサの体をふかふかのベッドに引っ張り込んだ。
普段なら恥ずかしがって抵抗するエルサだが、今は放心状態のため素直に従った。

「うふふ、一緒に寝るの久しぶり。嬉しいな」
アナは溶けそうな表情でエルサを迎え、包み込むように抱きしめた。