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美海(みうな)~凪のあすからより~

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「確かに、俺はまなかが好きだ。だけど、冬眠から覚めて、地上での生活を支えてくれたのは美海だった!」

私は失恋した。
もともとかなう相手じゃなかった。
だけど、本当に好きで、
でも、光はまなかさんしか見てなくて・・・・・・
寂しかった。
嫉妬した。

でも、光のことばに私は救われた。

私は、知った。
「人を好きになるということは、その人のことのために一番いいことができこと」
そのこととを。

「光、また明日ね」
私がそういうと、
「ああ、また明日」
笑顔で光が言葉を返す。

まだ心の傷は痛むけど・・・・・・
光とこうやって、前までと変わりなく話せることは嬉しい。

「ところで、光」
「なんだ?」
「もう、まなかさんに『告白』したの?」
「ぶはぁ! 何言ってんだよ!」
真っ赤になる光に、
「だって、私を振ったんだから、ちゃんとしてよね。私が、このままじゃ進めないじゃない?」
「振ったって・・・・・・そんなことはないぞ」
真剣に見つめる光に、
「えっ?」
動揺する私。
「俺は、お前が大事なのはかわらねぇ。それは、美海が俺に抱く感情と俺が美海に思う感情は違うかもしれないけど、
大切なのはかわんねぇーよ」
顔を赤面させる光。
「そんなこといって・・・・・・。さっさと、まなかさんに告白しなさい!」
そういって、私は光を突き放した。

嬉しい・・・・・・
私は、「一番」にはなれなかった。
だけど、光にとって大切な存在なんだ・・・・・・
そう思うと自然と心が軽くなった。

★★★

「潮留!」
そういって声をかけてきたのは、以前、告白される前に断ってしまった峰岸だった。
「あのさ・・・・・・少し、時間あるかな?」
遠慮しつつ聞く彼に、
「うん。大丈夫。」
そういうと、
「俺、潮留の泣く姿を見るたびに、あのときちゃんと告白しなかったこと・・・・・・後悔してたんだ・・・・・・」
「後悔?」
「確かに俺、潮留が幸せなら・・・・・・っと思って、あのとき、光さんと結婚できることとか・・・・・・いったけど・・・・・・
その気持ちは本当だけど、でも、『俺なら』って思うこといっぱいあったんだ」
そういう峰岸は真剣。

そういえば、峰岸の顔をしっかりと見たの初めてかもしれない。
整った顔。真剣な目。
やさしい口調・・・・・・

そんなことを考えていた。
「俺なら、潮留のこと絶対泣かせない! 俺は、絶対潮留以外好きにならない!」
力強くいう峰岸・・・・・・

その瞳は、
光と共通するものを感じた。

「でも、絶対なんてないんじゃないかな・・・・・・」
そういうと、
「そんなことない! 俺、正直告白すらさせてくれないことでかなりショック受けたんだ・・・・・・
でも、忘れようと思っても、距離を離そうとしても、やっぱり駄目だった。俺は、潮留じゃなきゃだめなんだ・・・・・・」

『光じゃなきゃだめなんだ・・・・・・』
そう思っていた私と同じ気持ちを峰岸は私に抱き続けてくれた。
それはわかる。

「俺、もし、潮留が光さんと上手く言ったなら、たぶん何も言わなかったかも知れない・・・・・・というか、信じて欲しいん
だけど、上手くいって欲しいという気持ちは思ってたんだ。」
「えっ?」
「だって、好きな人の『幸せ』が一番だから・・・・・・でも、潮留の気持ちは受け入れられなくて・・・・・・泣きそうな顔
してた。だったら、今度こそ、俺が、潮留を幸せにしたいって・・・・・・そう思ったんだ・・・・・・」

そう真剣にいう峰岸に・・・・・・
光の顔が重なる。

「・・・・・・私と同じだね・・・・・・」
「えっ?」
「私も、光の幸せが一番だもの・・・・・・私、ちゃんと峰岸のこと見ないで、告白断って、本当にごめん」
「・・・・・・うん」
そういうと峰岸はやさしく微笑んだ。
「でも、まだ、光以外の人のこと・・・・・・考えられないんだ・・・・・・」
「わかってる」
「そんな私でも・・・・・・いいの?」
「いっただろ? 俺は、潮留が・・・・・・いや、『美海』が一番なんだよ!」
真剣のまなざし。
そして、私の手を強く握る。
「美海っていわれるの・・・・・・嫌じゃないよ・・・・・・」
「じゃあさ、これから、美海って呼んでいいか?」
「うん・・・・・・まずは、友達になろう。・・・淳」
私がそういうと、
「ああ。美海のさびしい気持ちが、少しでも癒されるなら、俺、どんなことでも頑張るよ」

そういう淳の言葉が嬉しかった。
私は、光の一番にはなれなかった。
だけど、ちゃんと、こうやって、私のことを『一番』見てくれる人がいた。

変わらない気持ちもある。
でも、やっぱり人は変わっていく。
変わるのは怖いことじゃない。
私たちが成長することなんだ。

「ありがとう・・・・・・」
そう私がいうと、
「ううん。美海・・・・・・。きれいだよ・・・・・・本当に」
「えっ?」
「本当に美海はきれいになった。そうさせたのは・・・・・・光さんなのかなぁ?」
「そんなことないよ・・・・・・」
「でも、これからよろしくな、美海」

さっきから、『美海』って峰岸が呼んでくれるのが嬉しい。

光、
私、頑張るね・・・・・・。

(Fin)

さて、『凪のあすから』の『美海』主人公の物語でした。
あまりにも報われない『美海』ちゃんの・・・・・・物語のあとを書いてみました。
つたない文章ですが、私のかきたいことはかけたかなぁと思います。
それでは、失礼します。