可哀想な人
愛したい愛されたい。
だけど、どうでもいい誰かに愛されたい訳じゃない。
哀れな静ちゃん。優しい化け物なんて悲劇にもならないよ。愛しても愛しても傷つけるだけ。触れることもままならない。誰だってきっと思ってるよ。あいつは暴力しか知らない可哀想な人間なんだって。あ、人間だなんておこがましいかな。僕は人間が好きだ。でも、静ちゃんは大嫌いだよ。だって君は破壊しか知らない。慈しむことを知らない。温もりを知らない。まるでおかしい。自分でだって分かっているんでしょう?ほら、現に今の君は暴力を振るうこともせず、ただ無様な顔して震えてるだけじゃないか。あぁ、可哀想な人!ねぇ、どんなに生きていたって君は誰も愛せないし誰も君を愛さないよ。だって、君は暴力しか知らない。そういう風に出来てるんだから変わることなんて全くもって絶対全然有り得ない。あぁ、可哀想な人!女の子なんて柔らかくて脆いモノを君が壊さずにいれるはずないじゃないか。だから、僕が可哀想な君のために先に壊してあげておいたよ。ああ、なんて優しいんだろう。こんなに大嫌いな君のためにもこんなことをしてあげるなんて、本当に僕は優しい。誰も愛せない、愛するなんて君に許されるはずない。分かっていなかった訳じゃないよね?笑っちゃうよね、全く。あぁ、可哀想な人!そうやって一生生きていけばいいよ。あぁ、可哀想な人!幽くんだって自分の人生があるんだ。君なんて汚点にしかならないよ。必ず離れていくさ、あぁ、可哀想な人!血の繋がった弟にまで見捨てられて、独りぼっち。無様だね、静ちゃん。
「ねぇ、可哀想な君のこと愛してあげようか?」
人間が大好きな僕になら可哀想な君でも愛してあげられるかもしれないだろう?
作り物の悲劇になんて興味はないけど、大嫌いな静ちゃんが僕を愛することには興味があるのさ。
それでも、僕は君なんか死ねばいいと思うけどね。あはは。