明治東京恋伽~another story~
―芽衣ちゃん、芽衣ちゃん
あなたは誰なの?
―芽衣ちゃん、ひさしぶりだね
私はあなたと会ったことがあるの?
―みんなが待ってるよ。さぁ、行こう
芽衣ちゃん
<第一章 再ビ>
頭の中で声が響いた。一度どこかで聞いたことのある声。
「やぁ、久しぶりだね。芽衣ちゃん」
あれ、この陽気な感じの声はもしかして…
「チャーリーさん?」
チャーリーさん、なんでこんなところに。陽気な声はなぜか妙によくなじむ。一瞬冷たい風が吹く。寒いと思うのはなぜだろう。寝る前に確か窓をきちんと閉めたはず…
「本当に気持ちよさそうな寝顔だねぇ」
艶のある声がする。誰かが私を見ているのだろうか…
ゆっくりと重たい瞼をあげる。
「やっと起きたね。おはよう、芽衣ちゃん」
「え、本当にチャーリーさん?」
「うん、そーだよ。本物さ」
芽衣は起き上がるとあたりを見回した。視界に映るのは、揺れる木々や街灯、木のベンチ。薄暗くて、あまり見えないが、自分の部屋ではなくどこかの公園のようだった。
(眠い。もの凄く眠い。いったい今は何時なの?)
目をこすっていると、チャーリーさんが近ずいてきた。
「今回は驚かないんだね。前は僕をすごい目で見て警戒してたのに」
「今だって十分警戒してますよ。あの私、もの凄く眠いんで帰ります。あと今何時ですか?」
「うーん、三時ぐらいかな?」
「帰ります」
「待ってくれよ。君は一体どこにどーやって帰るんだい?」
「はっ?」
歩いて自分の家に帰るんだって、あれ?家?どこにあるんだろう?なぜか、思い出したいのに思い出せない。
「ハハハ、ごめんね。まさかまた君をこの時代に飛ばしてしまうとは思わなかったんだ。君はこの時代に必要とされているのかもね。」
「え、この時代って」
「そう、君と僕の運命のマジックによって、明治時代にきてしまったのさ」
作品名:明治東京恋伽~another story~ 作家名:minatu