かじみちつめ
菜々緒ちゃんの処置が終わり、看護師が個室から出て行って、また未知子と菜々緒ちゃんは個室にふたりきりなる。
未知子は菜々緒ちゃんに、腹腔鏡手術をいつやったのか、加地先生がやったんでしょ、と聞く。
手術痕だけで加地先生がやったと未知子はわかるんですね。
ねぇ、これ普通のことなの!?
手術した張本人の加地先生がわかるのはともかくとして、他のひとにもわかるものなんでしょうか……?
三年前、腎臓にがんが見つかったとき、まだ駆け出しの無名のモデルだった菜々緒ちゃんを治してくれたのが、加地先生だった。
腹腔鏡の名医で、マスコミにも引っ張りだこのスーパードクターと菜々緒ちゃんは話す。
それを聞いて、未知子は軽く笑う。
……このとき未知子はなにを思っていたのでしょう? 気になります。
菜々緒ちゃんは言う。
「加地先生は絶望を希望に変えてくれた」
だけどそのときのがんが脊髄に転移した、と未知子は言った。
菜々緒ちゃんはうなずく。
「私はまた絶望に突き落とされた。もしもあのときがんの取り残しがあったのなら、加地先生はプロの仕事をしなかったってこと。責任は取ってもらわなきゃ」
鋭く告げた。
それに対して、未知子は言う。
「あんた、そうやって加地先生を脅したんだ」
うわああああああああ!
これって、未知子は完全に加地先生側に立った発言ですよね!?
「脅した」って、相手(菜々緒ちゃん)を批難する台詞ですよね!?
なんかもうこの回、やたらと未知子が加地先生を守ろうとしていて、未知子から加地先生への慈しみをすごく感じて、胸が震えます。ありがとうございました!
そして、この時点でもう未知子は焼き肉を食べに行ったホテルで加地先生と菜々緒ちゃんを目撃したことについて、ふたりが付き合っていてホテルで密会していたというわけではなく、菜々緒ちゃんが加地先生を脅したとわかっているわけですね。
あー、安心したあ。
察しの良い未知子、そして首を突っ込んでいく未知子。
これって平常運転ですかー?
一方、加地先生は富士川先生の部屋で、そんな脅しに屈したわけではありませんと、きっぱり否定。
……嘘っぽいなー。虚勢張ってるだけでしょう。だって、ホテルの一室で菜々緒ちゃんとふたりきりでいたときの様子を思い出したら、ねえ?
どれだけパーフェクトなオペをやっても転移はある、と富士川先生は言った。
……そうなの?
加地先生は脅しの火種は消さなければならないと主張。
これで、自分の論文が加地先生の症例付きで世に出る、世界初だと富士川先生は嬉しそうに笑う。
富士川先生が金についてはキャッシュできっちりそろえさせてもらうと告げると、加地先生は「おおきに」と頭を下げる。
おおおおおーい、加地先生(笑)
まあ、金に汚いがキャラ設定だから!
このあたり加地未知シーンと関係ないけど、この「おおきに」はおもしろかったので、書いておきたかったんです。
天堂総長が病院の廊下を歩いている。
その進む先のほうから未知子が歩いてくる。
すれ違った瞬間に、天堂総長が未知子に話しかける。
話をして、未知子が去って行こうとしたとき、天堂総長は呼び止める。
そして、天堂総長は未知子が晶さんたちと焼き肉を食べに行ったホテルの肉はおいしくないと告げる。
驚いて未知子は振り返る。
天堂総長は未知子を食事に誘うが、未知子は笑顔で「いたしません」と告げて去って行く。
このシーンも加地未知関係ないですが、怖くて!
天堂総長、こわっ!!!!!
名医紹介所や天堂総長が肉を食べてるシーンがありますが、加地未知関係ないので省略。
別の日、加地先生は富士川先生の部屋で富士川先生と一緒に菜々緒ちゃんの術前検査の結果を見ている。
がんが進んでいる。
あまり大きくなると部分切除で対応できるかどうかと心配そうな加地先生に対し、富士川先生はまさか術式を変更すると言わないだろうなと鋭い視線を向ける。
富士川先生は、免疫療法・化学療法・放射線治療、あとの対処はいくらでもある、と主張。どうしても自分の部分切除の術式を加地先生にやってもらいたいよう。
加地先生は困っているような表情。
……加地先生は基本善人だからなー。
でも、結局、富士川先生の口車に乗せられていい気になったような発言をして、また「おおきに」と頭を下げる。
勝村さん楽しそう。
加地先生は菜々緒ちゃんの特別個室に入っていく。
めっちゃ浮かない表情してますなー。美人さんに会えるのにぜんぜん心ウキウキしないみたいですね。きっと、もう加地先生の心の中には未知子しか……!
でも、菜々緒ちゃんは部屋にいない。
未知子がパンを食べながら屋上へあがっていくと、そこには菜々緒ちゃんがいる。
菜々緒ちゃんは黙々とウォーキングの練習をしていた。
このときの菜々緒ちゃん、化粧っ気があまりないんですが、綺麗です。
少し離れたところから未知子はその様子を見ていて、少しして菜々緒ちゃんは未知子に気づくが無視してウォーキングの練習を続ける。
そこに、菜々緒ちゃんを捜していたらしい加地先生がやってくる。
階段をのぼってすぐのところにいる未知子に、加地先生は声をかける。
「なにやってんだよ」
いちいち未知子にからまずにいられないんですか!
もう、本当に、もう、加地先生のこーゆーところ、おいしくておいしくて。
それから加地先生は菜々緒ちゃんのほうへ行こうとするが、今度は未知子が加地先生に声をかける。
「させたげなよ」
加地先生は未知子を振り返り見た。
未知子の眼は菜々緒ちゃんのほうに向けられている。
そんな未知子を加地先生は少しのあいだ眺めてから、また菜々緒ちゃんのほうを向く。
でも、その足は止まったまま。
きゃー! 加地未知加地未知!!!
なにかあると加地先生は未知子に文句を言わずにいられないんですね。それって、未知子の関心を自分に向けたいからですね!
そして、未知子は素っ気なくだけれども、加地先生に助言。
その短い台詞で、加地先生は説得されて、菜々緒ちゃんのほうに行こうとしていた足を止めたままでいる。
なんか、未知子のわかってる感がすごい……!
加地先生はこう言ったらこうなるってわかっていて、実際、加地先生はそうする、って感じ。
なんだこのふたりは!
早く結婚しろ!
しかし。
ふいに菜々緒ちゃんは痛みを感じて、崩れ落ちるように座り込む。
加地先生はそちらへと駆けつける。
「大丈夫ですか?」
加地先生はいたわるように菜々緒ちゃんの身体に触れる。
菜々緒ちゃんは加地先生に支えられるようにして立ちあがった。
「大丈夫、ひとりでもどれる」
そう告げて、去って行く。
次回予告はこの場面だったんですね。
加地先生は去って行く菜々緒ちゃんの後ろ姿を心配そうに見送る。
夕陽の差し込む菜々緒ちゃんの個室で、加地先生は菜々緒ちゃんに手術同意書の説明をしている。その隣には未知子が立っている。
しかし、菜々緒ちゃんは加地先生の説明をさえぎった。
菜々緒ちゃんはパリコレに行けるのかを加地先生に確認したあと、同意書に署名した。
それを加地先生に差し出し、強い眼差しを向けて、告げる。
「今度は失敗しないで」
加地先生は菜々緒ちゃんを見返して、はっきりと言う。
「僕は失敗なんかしていません」