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かじみちつめ

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原先生が入り口付近にもどってきたのと入れ替わりのように阿智先生が未知子のほうへ歩いて行き、その顔を見おろす。
……ふと思ったんですが、このときの阿智先生はスーツ姿にカバンを持っていて出勤したばかりの格好、もしかして加地先生や原先生と仲良くご出勤……?
東西の垣根って無くなってない……?
阿智先生は言う。
「でも、寝顔は意外と可愛いやないか」
直後、加地先生ははじかれたように眼をぎゅっとつむって頭を大きく横に振る。
「そんなわけねーだろ」
笑って言った。
まわりの先生たちも笑う。原先生は大笑いしている。
加地先生は一瞬口にあてた手で今度は未知子の顔のほうを指さし、笑いながら阿智先生が未知子の顔をのぞきこんでいるほうへ歩いて行く。
そして、加地先生は腰をおろしてイスの背をつかみ目線を下げ、眠っている未知子の顔をじっと見る。
未知子、っていうか、米倉さん、本当に美しい……!!!!!!!!
ひあああ、と加地先生は変な声をあげながら立ち上がり、いつのまにか隣に立っていた原先生を見る。
「あのね、すごく意外なんだけど、かわいい……!」
震えてるみたいな子供みたいな声で言った。
さらに。
「かわいい……!」
と可愛いを繰り返して、まわりにいるひとたちを来いって感じに手で引き寄せる仕草をしつつ、また腰を落としてイスの背をつかんで、未知子の寝顔を観察する。
おい、加地ちゃん、そこ一番未知子の顔に近い場所! 一番の特等席!!!
一番近くから見たいんですねー。
まわりにいるひとたちに見るように薦めたのは未知子の寝顔の可愛さをわかってもらいたかったからで、でも、一番いい場所は自分のもの!!!なんですね。
このときの加地先生の心情は。
はぁーかわいいーかわいいー俺のお嫁さんになってくれないかなーかわいいー。
で、いいですかね!?
他の先生たちも未知子を見おろし、うっとりした感じの表情になり、「可愛い」「可愛い」の声があがる。加地先生はふああとかまた変な声をあげている。
その声のせいか、自分に向けられる複数のよこしまな視線のせいか、未知子は眼をパッチリ開けた。
未知子は驚く。
直後、未知子の手のひらが走った!
バチッ!
その手のひらは加地先生の顔を直撃した。
ひっぱたかれた加地先生、とっても痛そう……!
加地先生は衝撃でのけぞり、大きく体勢を崩し、叩かれた顔をおさえて床に尻もちをつく。
一方、未知子はわけがわかっていない様子で叫んでいる。
加地先生が顔を押さえながら立ちあがるのと同じころに、未知子も寝ていたイスから上体を起こす。
加地先生は顔を押さえて文句言いたげに未知子を見ていると、未知子はそちらのほうにキツい視線を向け怒鳴る。
「なに見てんのよッ!」
ビクッとなった加地先生は身体をそらし、背中を壁にぶつけた。
……このとき、未知子、加地先生しか見てなくなかったですか? 他にも見てたひといるのに!
男たちはあわてた様子で部屋から出て行く。
加地先生が「もういっ!」と言いかけたときに、未知子は「なに見てんのよ!」と威嚇するように怒鳴った。
部屋から出て行くまえに加地先生はさっき言いかけたこと、「もう一生寝ててほしい!」と言う。
未知子は舌打ちし乱れた髪をサッと手ぐしで流すと、パソコンを見る。
そのとき、去って行った加地先生がふたたび「もう一生寝ててほしい!」と訴えるように叫んだ。
未知子は大きくため息をついた。
それから、パソコンの画面に表示した患者の画像を真剣に見つめた。
なんかもうすごい加地未知がまた来ましたね……!
未知子による一番の被害者は安定の加地先生という!
いや、位置的にそうなったからなんですけど、あの位置にいたのはそもそも加地先生があそこに陣取ったからで、自分が一番よく未知子の寝顔を見られるところにいたかったからで……!
そして、「もう一生寝ててほしい」……!
これって、君の寝顔をずっと見つめていたいってことですね、わかります!
早く結婚しろおおおおお!!!!!
っていうか、そのまえに、加地ちゃん、ちゃんとプロポーズしないといけないですよ!
まずは自覚、そして行動!
デーモンに男なんかいない、って、やきもきしている場合じゃないです!
ちゃんと未知子をつかまえないとダメです!
それにしても、加地未知、かわいいですね。
加地先生、マスコミにも引っ張りだこのスーパードクターで、一流のファッション誌で「加地秀樹の魅力」(最後に(笑)って付けたくなった(笑))って特集記事がバーンと掲載されるぐらいなのに、未知子に弱いね……。
ご褒美にお気に入りのみかんを笑顔であげようとしたら二度も落とされたり、かなり痛そうなぐらい顔をひっぱたかれたり。
でも、そのポジションにいるのは加地先生なんですね。あーかわいいかわいい。
あ、そうだ。
みなさま、お気づきでしょうか?
未知子が寝ていたイスの隣のテーブルには未知子の私物らしきものがいくつか置かれていました。
その中に、みかんの皮がありましたよ……!!!!!
二個ぐらい食べたんじゃないですかね?
そして、そのみかんはもちろん、加地先生お気に入りの香川のみかんですよね!?
結局、未知子は加地先生から香川のみかんをもらっていたんですね。そして、食べた。未知子も加地先生お気に入りの香川のみかんを気に入っているということですね!
加地先生が笑顔で差し出してきたときはツンツンしてたのに、実はこっそり……。
なんなのよ、このふたり!
可愛すぎる……!
しかも、公式様がテーブルのうえにみかんの皮を置いて、それについてはなにも触れずに、でも、ふたりのつながりを見せてくれるところが、たまりません! ありがとうございました!!

富士川先生のオペを見ている加地先生がほとんど未知子が執刀していることについて不機嫌そうなのが萌えました。




今回、また加地未知がたくさんあって嬉しくて、公式様ありがとうございました!という感じでしたが、他にもいろいろ。

白木看護師長が天堂総長を敬愛していたのにはびっくりしました!
あの胸きゅんな表情とか高畑さん、うまいなあって思いました。恋する乙女な顔でしたよ! それから、自分にミスをなすりつけられて、それでもグッとこらえたところとか。札束をはねのけるシーンとか、演じていて気持ち良かったのではないかと思います。
天堂総長のほうはどうなんでしょう……?
これで全部終わったあとに、なんか報告にきた白木看護師長と部屋にふたりきりになって、天堂総長が「どうですか、私はひとり身で寂しいので、帰りに食事につきあってもらえないでしょうか、淳子さん」ってお願いして、白木看護師長は「は、はい」って返事したあとに下の名前のほうで呼ばれたことに気づく、とか。これから始まりますよな感じで終わるという。

あと、富士川先生なんですが、自分のミスを看護師長になすりつけたうえけなしたりして本当にイヤなヤツって感じなんですけど、廊下に落ちたお札を拾い集めている姿には悲哀を感じました。このひとだって本当はこんなことしたくないだろうなって。
再手術のときに未知子が行った術式を自分の手柄にできると喜んでいたけれど、実はそうでもしないと自分のプライドを保てなかったのかもと思いました。
作品名:かじみちつめ 作家名:hujio